利瀬くんの甘さに溺れたら
人通りが多くなってきた街路樹で、気づいたら思いっきり叫んでいた。
「だって、私も嬉しかったよ。利瀬くんと買物…買い出しだけど、一緒に出かけられて。私も…利瀬くんと同じ。利瀬くんと来れて良かったなって、すっごく思ったよ…っ!」
もう、恥ずかしいとか周りの人に迷惑かもしれないだとかは考えられなくて。
それより何より、利瀬くんに誤解されたままの方が断然嫌だったから。
私が思ってること全部を伝えたくなったの。
「だからお互い様、ってことで…どうでしょうか」
でも、やっぱりそれは火事場の馬鹿力…みたいなもので。
う…こんな道のど真ん中で何言ってるんだろう私…。
冷静になった途端恥ずかしさが襲ってきて、じわりじわりと頬に熱が集中してくる。
利瀬くんは利瀬くんで何も言わずに歩いてるだけだし、この空気をどうしてくれよう。
な…何か言ってよ利瀬くん!!
この沈黙に耐えられなくなった私は、とりあえず利瀬くんの反応を伺いながら顔を覗き込もうとして…。
「り、利瀬くん?あの…何か言ってもらえると…」
「……瑠々」
「っ…!?」