利瀬くんの甘さに溺れたら
な、なんだろう…?
っていうか、どこまで来るつもり…?
彼が歩みを止める気配は一向になく、今も尚近づいてくる利瀬くんに動揺してしまう。
「………」
「え、り、利瀬くん…?ちょ、近っ…」
一体何考えてるの…っ!?
気がつけば利瀬くんが目の前まで来ていて、思わず目を瞑ってしまった。
何かされるのかと身構えていたら、持っていたリボンが手から離れていく気がして目を開く。
「…うん、これで大丈夫だと思う。アリスっぽさがよく出てるよ」
満足気にそう言った利瀬くんは、それはもう「満足です」と言わんばかりにニコニコしていて。
「っ〜〜!!もうっ、利瀬くんのバカ!!」
「え?」
彼の名前は利瀬奏汰くん。
いつなんどきでもマイペースな不思議くん。
そんな彼と、文化祭の準備で放課後居残りをしています。
私は利瀬くんのクラスメイトの佐藤瑠々。
利瀬くんとは時々お話する程度の仲だったんだけど、今月末にある文化祭の準備で一緒にいることが増えてきたんだ。
どうして二人きりなのかというと、材料とか道具でごった返すから二人ペアでやろうということになったのである。