利瀬くんの甘さに溺れたら
でも、その滅多にないお願いがうさぎの耳をつけて欲しい…だなんて。
他意はないんだろうけど…なんか引っかかるんだよなぁ…。
うさぎの耳を渡されてからそんな思考が頭の中を駆け巡り、数秒間固まってしまった。
だから、利瀬くんに言われたことの意味が一瞬空耳かと思った。
「瑠々がつけたら、絶対かわいい」
「……………え?」
利瀬くんはいつもの真顔。
だけど、いつになく真剣な顔と声のトーンで。
「ごめんね、勝手につけちゃうよ」
「あ……」
よくわからないまま固まっていたら、利瀬くんが立ち上がって耳を取り、私の頭にスポッとはめた。
そして、真顔から一変した利瀬くんの頬はゆるりと緩み破顔した。
「…うん。想像してたよりずっと可愛い。瑠々がうさぎ役にならなくて、本当によかった…。これじゃあみんな、瑠々の虜になっちゃう」
「っ〜〜!!」
利瀬くんは、私をどこまでドキドキさせたら気が済むんだろう。
無意識でやってるのか、意識してやってるのか…。
後者は有り得ないから、たぶん無意識なんだろうけど…。