利瀬くんの甘さに溺れたら
私は、少しトイレに行って頭を冷やしてこようと一旦離れることにした。
「利瀬くん、私ちょっとお手洗い行ってくる!」
「わかった」
よし、このまま速攻トイレに行こう。
了承を得てから心の中でガッツポーズをし、教室の扉をガラガラッと開ける。
「って、あれ?杏奈ちゃん…?」
「あっ、瑠々ちゃん…」
そしたら、クラスメイトの桜井杏奈ちゃんがいてびっくり。
杏奈ちゃんもまた、私に声をかけられたことで驚いたのか、肩をビクッと震わせた。
「どうしたのー?あ、もしかして衣装になにか変更があった?」
「えぇ…っと、うん。そ、そうなの」
杏奈ちゃんはどんな子かと言うと、ふわふわしていて守りたくなるような小動物系女子。
圧倒的美少女で、『不思議の国のアリス』の主人公であるアリス役に抜擢された。
いつもオドオドしているから、そこも男子に人気な理由の一つでもある…んだけど。
「それでわざわざ主役の杏奈ちゃんが…?」
「う、うん。細かいところ…なんだけどね…」
…なんか、いつも以上にビクビクしてるような…?