利瀬くんの甘さに溺れたら

花梨が背中を押してくれたからそう思えるし、余計に頑張らないとって思う。



それになにより…私が利瀬くんを好きだと思う気持ちは、誰にも負けない自信があるから。



「…うん、大丈夫」



深呼吸して、自分にそう言い聞かせた。



教室に帰ったら、利瀬くんに文化祭の日の予定を聞こう。



それで、一緒に回る約束をしてもらうの。



断られる可能性が無いわけじゃないけど、他の誰かに…杏奈ちゃんに先を越されちゃうよりよっぽどマシだ。



…杏奈ちゃん、ごめんね。



私も、利瀬くんのことが大好きなの。



こればっかりは、いくら友達でも譲れない。



だから、こんなことを思ってしまう私を…どうか許して。







「あ、瑠々おかえり」



「た、ただいま。……あれ?杏奈ちゃんは?」



トイレから教室にたどり着き、なんとなくの戻りづらさを感じつつ扉を開けた。



勝手に杏奈ちゃんと気まずくなっていたから顔を合わせるのが怖かったけど、どこを見ても杏奈ちゃんの姿は見当たらない。



まだいると思っていたからちょっと拍子抜け。



「杏奈ちゃん………?」
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