利瀬くんの甘さに溺れたら
私たちは一体何をしているのかと言うと。
「…で、利瀬くんは進捗どう?」
「んー…ベストが完成したけど、材料が足りなそうかも」
「そういえば、明日買い出し予定だっけ?」
「らしいね」
「衣装作るのは楽しいけど、さすがに疲れるねぇ…」
私たちのクラスがやる演劇「不思議の国のアリス」の衣装係として、毎日放課後に残って頑張っているところ。
私と利瀬くんはお裁縫が他の人より得意なため、すぐ衣装係に抜擢された。
もともとそのつもりだったけど、利瀬くんは良かったのだろうか…とたまに思う。
「…とうしたの。俺の顔、なんかついてる?」
「いや、利瀬くんが何の役もやらないのが納得いかなくて…」
「そう…?」
本人は首を傾げているから、本当に何も思ってないんだろうなというのがわかる。
でも……。
「どう見たって整ってるんだよなぁ……」
「???」
たしかに利瀬くんは、イケメン!!っていう感じではない。
どちらかというと、あまり目立つ方ではなくて、ちょっと変わってる男子というイメージを持たれてる。