利瀬くんの甘さに溺れたら

実際、私も最近までそう思ってた。



だけど、こうして一緒に衣装を作るようになってから気がついたことがあって。



「利瀬くんさ、今からでも役もらわない?」



「え……普通に嫌だけど」



「えぇ?もったいないよー!こんなにも綺麗な顔してるのに!!」



「なに言ってるの佐藤さん」



そう、利瀬くんはカッコイイではなく“綺麗”な男の子なのだ。



今はあまり告白とかいう類の話は聞いたことないけれど、そのうち利瀬くんの魅力に気づく人が出てくると勝手に思っている。



ちょっと変わってるけど、意外と話しやすくて優しいし、何より一緒にいて居心地が良い。



きっと、付き合ったらとても大事にしてくれる。



………たぶん。



勝手に言っておきながら自信が無いのは、私自身がよく「男を見る目がない」と言われるからである。



「…そういえば、佐藤さんがこの前言ってた先輩とはどうなったの?」



「……………………」




「…?佐藤さん?」



実は私、ついこの間までとある先輩に片想いをしていた。



同じ委員会の先輩で、後輩の私にも優しく色んなことを教えてくれた。
< 4 / 44 >

この作品をシェア

pagetop