苦くて甘い恋の花言葉
「はるくんどうしたの?」
「ふゆと美優先輩が二人の世界を作っていたから」
二人の世界?それがいけなかったのかな?
「美優も、簡単に人を好きだと言ってしまってはいけませんよ」
私とは違って、美優さんは朔夜先輩に怒られているよう。
「でもふゆりのことは本当に好きだから簡単になんか言っていないぞ?」
美優さん!今さっきはるくんに怒られてばっかりだけどもう本当に好き!
「本当にあなたって人は」
「私なにかしてしまったか?」
「いえ、あなたはそれでいいんです。もう本当この人は…」
朔夜先輩がなぜか諦めた顔をしている。
そう思っていたらはるくんが朔夜先輩の方に近づいて…。
「朔夜先輩の気持ちよくわかりますよ」
「あぁ…そちらも無自覚天然な方でしたね」
「はい。おまけに鈍感とまで。この三代属性のせいでどんなにアピールしても気づいてくれないんですよ」
「私の方もアピールしても全然か気づいてもくれず…もう大変です」
そうして熱く?語あってい二人。
「何を話しているんだ?ふゆりは意味わかるか?」
「私にもさっぱり。なんの話しをしているのかな?」
私も美優先輩も何を話しているのかわからない。
何か難しいことを話しているのかな?
「二人はなんか話しているようだし今のうちにふゆりのミスコンの参加用紙を完成させようか」
「そうだね。まだ他の実行委員はクラスの仕事で忙しくてしばらく来れなさそうだし」
そうして美優さんに紙を渡された。
「これに意気込みとかアピールとかなんか書くんだ」
「意気込み?」
「そうだ。それがミスコンの参加者のポスターに書かれるんだ。一言でいいぞ。ちょっと横の方に書かれるだけだから」
「う〜ん。じゃぁ…応援してくれる人のために頑張りますとか…でいいかな?」
「ふゆりらしさが出てていいと思うぞ。意気込みとかが決まったら写真を取らないといけないな」
「写真?」
「今さっきポスターっていただろ?」
「はい確かに意気込みをポスターの横の方に乗せるとか」
「それの上の部分が自分の写真だ。そしてその人のイメージに合った言葉も一緒につけたされる」
結構本格的だ!
「写真は制服のままでいいの?」
「いいといえばいいが参加者は大体可愛い衣装とか着て写真撮っているぞ」
「じゃぁ衣装とか着た方がいいですよね。でも可愛い衣装とかあんまりないです」
「大丈夫だ!演劇部に借りよう」
「でも貸してくらるかな?」
「そこは大丈夫だ。演劇部には友達がいるから絶対貸してくれるぞ」
何から何まで美優先輩に助けてもらっている。
「美優さん!いつもありがとう」
「お礼を言うのはこちらの方だ。私の方が助けられている。一年前のことだったり」
「私だって美優さんにいつも、助けられているよ」
「そうか、私がふゆりを助けられていたか…」
「うん!だからありがとうを受け取って」
「…ありがたく受け取っておこう」
「うん」
お互いの顔を見て笑った。
ガチャ
「失礼しまーすって百合⁈」
「え?百合?ガチじゃん!」
「あれこれ大丈夫?」
入ってきた人たちがなぜかおんなじことを言っている
「百合?ここにはユリなんてないぞ?」
「今さっき言ったことは気にしないでください」
「そんなこと言われたら余計気になる!ふゆりも知りたいだろ」
「うん!すごく気になる!」
みんながユリって言っていたことをわからないのは美優さんと私だけ見たいで余計に気になってしまう。
「…ふゆは知らなくていいんだよ」
「はるくん!でも気になるものは気になるよ!」
「でも、だめ。それより会議を始めませんか?実行委員のこと以外にも自分の役割もしなくてはいけませんよね?」
「そ、そうだね〜。生徒会長、早く進めましょう!」
「うむ?そうだな!全員揃ったところだし始めるか」
それから、会議が始まった。
会議の内容は、今のところ資材が足りないところはないか、何かトラブルは起きていないかと言うことだった。
そして、ミスコンについても説明がされた。
「…今日の会議はこれで終わりだ。各自、自分のやるべきところに行ってくれ」
「はい!」
そうして、今日の会議は終了された。
「ふゆ、僕たちもクラスに戻ろうか」
「うん!そうだね」
「ふゆり!今さっき話していた、ミスコンのポスター作りを放課後にしたいとおもうのだが時間はあるか?」
はるくんのこともあるけど、美優さんは私のために忙しいのに手伝ってくれようとしている…。
だからこの善意を無駄にすることはできない!
「わかった!放課後どこに行けばいいの?」
「場所は私の教室の前でいいか?手伝える時になるべくみんなを手伝いたいんだ」
美優さん…!忙しいのにみんなのことを少しでも楽にさせてあげようと手伝うなんて…!
本当に申し訳ないよ。
「うん。全然いいよ!むしろ私の方こそ忙しいのに手伝ってもらって…だからありがとう!」
「あぁ。こちらこそだ!じゃぁ私は行くな!また後で!」
「またあとで!」
そうして一旦美優さんと別れた。
美優さんが離れて行ってから私ははるくんに話しかけた。
「はるくん、私そういうことだから帰り遅くなるから、今日は一人で帰るね。はるくんは早く帰ってね?」
はるくんを待たせるわけにはいかない。
何よりポスター作りということは写真を撮るということ!
直で見られたら恥ずかしすぎて撮影どころじゃなくなちゃう。
だからはるくんに一人で帰ってもらおうと思ったのに…。
「俺は待ってるから大丈夫」
「え?でも、はるくんを待たせるのは申し訳ないし…」
「そんくらい大丈夫だよ。それよりふゆを一人にするくらいなら待つ方がいいからね」
「私が一人になっても何も起きないよ?」
「そういうところが危ないの自覚して。じゃないと危険な目に遭うよ?」
「危険?それは痛いこと?」
「う〜ん。痛いこともあるかもね」
「それは嫌だ…」
「じゃぁ俺が待ってるから一人では帰らないでいいよね?」
「はるくんに待ってもらうのは嫌だけど痛いのもやだから今日も一緒に帰ってくれる?」
そうやってはるくんを見つめる。
「っ…可愛い…!」
「はるくん?どうしたの?体調悪いの?」
「体調は悪くないよ。今日も一緒に帰ろっか」
「うん!」
話しながら歩いていたらすぐに教室についた。
「あっ!ふゆりさんと桜宮さんが来たぞ!」
「ふゆりさん桜宮さん!採寸するのでちょっと時間ください」
「はい!お願いします」
そして採寸を終わって人手が足りないところに手伝いに行った。
そんなことをしていたらもう放課後になっていた。
早く、美優さんの教室まで向おう。
「はるくん私行ってくるね」
「うん。いってらっしゃい」
そうしてはるくんと一旦離れて私は美優さんのところに向かった。
「美優さん!来ました!」
「おぉふゆり!では早速演劇部に向かおうか」
「はい」
❅•❅•❅
「演劇部の者には話をつけているから好きな衣装を選んでいいと言うことだ」
「美優さんすごいですね」
そこにはたくさんの衣装があった。
「ふゆりはこう言うドレスが似合うんだと思うが」
そこにはゴテゴテのドレスが…。
そういえば美優さん服のセンスが壊滅的だったのを忘れてた。
だけど一生懸命選んでくれたので断りずらい…。
どうしよう…。
「美優…流石にそれはダメだよ」
「沙奈!」
紗奈さん…!
彼女は、翠川紗奈さん。
美優さんの親友で私のもう一人の頼れる先輩。
「ふゆりちゃん元気?」
「はい。元気です!」
「うんうん。元気があっていいね」
「紗奈この服のどこがいけないんだ?」
「その服はふゆりちゃんにはあまり合わないでしょ?私はこっちの桃色のドレスと飾りには…この赤バラが目立っていいと思うよ」
「確かに…言われてみればそうだな」
「じゃぁふゆりちゃんこれ着てきてくれる?」
紗奈さんが選んだ服が渡される。
「着替えてきますね」
周りをカーテンで囲んで着替える。
「ところでふゆりちゃん?ミスコンのアピール何するの?」
「私は、その…歌を歌います」
「どんな曲?」
「その、恋の花言葉…と言う曲です」
「あの曲か!いい曲だよな!でもあれ?確か恋の花言葉はラブソングだったよな?」
「そ、そうでしたっけ?」
「ラブソング…つまりふゆりちゃんの恋の相手は桜宮くんね!」
「ち、ちがいますよ!」
「その焦り方は本当ね!」
ラブソングのところはわかるのになんで私がはるくんのこと好きだなんてしってるの?
「もう…紗奈さんは人の心でも読めるのですか?」
「違うよ。ただふゆりちゃんは分かりやすいの。美優もね」
「なっ!今わ関係ないだろ!」
「美優さんも誰かに恋しているの?」
「確かにそうだが、私の好きな人の周りには綺麗な人が多くてな私なんか気にしてくれないんだ」
「その気持ち分かる!私もはるくんが好きだけど周りに綺麗な人が集まって私なんか眼中になくて何度もこの恋を諦めようかなって思ってた」
美優さんの言っていることに共感しすぎてつい、いき良いよくカーテンを開けてしまった。
でも着替えていたからよかった。
「美優もふゆりちゃんも両想いなのに苦労しちゃって…よし!二人のために文化祭の伝説を教えてあげよう」
「文化祭の伝説ですか?」
「そんなのあったか?」
「それがあるのよ」
「例えばどんなのがあるんですか?」
「ふゆりちゃんの場合はミスコンの時にスイーツ食べ放題券と一緒にブーケを渡されるの。そのブーケを好きな人に渡すと恋が叶うと言う。美優の場合は、文化祭の最後に好きな人にキスをすると恋が叶うと言うのがあるのよ」
やっぱり学校にはいろんな伝説や噂とかあるんだな。
「でも、伝説と言っても噂だろ?」
「甘いよ美優」
「何⁉︎」
「実際にそれで付き合った人達はどれほどいるのか数えきれないほどいるのよ」
「でもそれでかなったらいいな」
「叶うよ。二人に最後にとっておきの魔法を教えてあげる。それはねーーー」
それから二人に手伝ってもらいなんとかポスターの写真はとれた。
「美優さん、紗奈さんありがとうございます」
「全然いいぞ!」
「えぇ、私もふゆりちゃんのことを手伝えて楽しかったよ。それより桜宮くんが待ってるでしょ?早く迎えに行ってあげてね」
「そうだ!はるくんにずっと待たせてたんだった!すみません先に帰らせてもらいます!」
「うん。困ったことがあったらいつでもきてね。」
「はい!」
演劇部の部室を出てはるくんのところに向かう。
「はるくん!」
「ふゆ!どうだった?」
「楽しかったよ」
「そっかならよかった。ここに突っ立っててもあれだし歩きながら話そうか」
「そうだね」
そうして学校を出た。
「ふゆは今日先輩と何か話したの?」
「うん!文化祭について話したんだ」
「文化祭のこと?」
「うん!私がミスコンで歌を歌うこととか伝説についてとか」
「伝説?そんなのあったかな?」
「私も初めて知ったんだけど…恋愛についてが多かったよ」
「恋愛?」
「うん。恋愛…」
ちょっと顔が赤くなっている自覚がある。
「ふゆはその伝説を好きな子にしようと思ってるの?」
「へぇ?ち、違うよ」
「ふぅ〜んその態度本当に好きな人がいるんだ」
「だから違うよ!」
はるくんのこと好きだなんて気付かれて一緒に入れなくなったら嫌だ。
だから嘘つくしかない。
「はぁ、一体どこのどいつが俺が見ていない時にふゆに関わっていたんだ?」
「はる…くん?」
なんかいつもと違う?
「大事なことだから言うよ?"ふゆり"が今好きな人はやめておいた方がいいよ?」
「え?なんで?」
「どうせ、ろくでもないやつがふゆりに近づいて騙しているだけだ。そんなやつを好きになるだなんて無駄だ。今すぐやめておいた方がいい」
「今さっきから…何を言ってい…るのかわからないよはるくん」
声が出しにくい。
今さっき、はるくんが言ったことは私みたいなのが自分を好きだなんて言うなってこと?
はるくん私の気持ちに気づいていたの?それなのになんで私に優しくしていたの?
「そこまで泣くって言うことはそんなにそいつのことが好きなんだな俺はいらないみたいだな…」
「はるくん。勘違いしてる!」
「勘違い?でもふゆりは好きな奴がいるんだろ?」
「そ、それはそうだけど…」
私が好きなのははるくんだし…。
「あぁそんな可愛い顔しちゃって。この顔を見れるのは俺だけだったのに…」
「はるくん!」
「ふゆりだけでも幸せになって…」
「待って!はるくん!待って!おいてかないで!」
「…」
いくら叫んでも帰ってきてくれない…。
そうしてはるくんは見えなくなるまで振り向くそぶりもせずに帰って行った。
「はるくんに嫌われた…」
気がつくとわたしは泣いていた。
ちょうど私の涙を隠すかのように雨が降った。
折りたたみ傘は持っていたがはるくんに嫌われたことへのショックで傘をさすことすらできなかった。
私はずぶ濡れのまま家に帰った。
お母さんとお父さんは心配してくれたが親の勘というものだろうか…。問い詰めることもせずただそっと隣にいてくれた。
改めて親の温かさを実感した。
「ふゆと美優先輩が二人の世界を作っていたから」
二人の世界?それがいけなかったのかな?
「美優も、簡単に人を好きだと言ってしまってはいけませんよ」
私とは違って、美優さんは朔夜先輩に怒られているよう。
「でもふゆりのことは本当に好きだから簡単になんか言っていないぞ?」
美優さん!今さっきはるくんに怒られてばっかりだけどもう本当に好き!
「本当にあなたって人は」
「私なにかしてしまったか?」
「いえ、あなたはそれでいいんです。もう本当この人は…」
朔夜先輩がなぜか諦めた顔をしている。
そう思っていたらはるくんが朔夜先輩の方に近づいて…。
「朔夜先輩の気持ちよくわかりますよ」
「あぁ…そちらも無自覚天然な方でしたね」
「はい。おまけに鈍感とまで。この三代属性のせいでどんなにアピールしても気づいてくれないんですよ」
「私の方もアピールしても全然か気づいてもくれず…もう大変です」
そうして熱く?語あってい二人。
「何を話しているんだ?ふゆりは意味わかるか?」
「私にもさっぱり。なんの話しをしているのかな?」
私も美優先輩も何を話しているのかわからない。
何か難しいことを話しているのかな?
「二人はなんか話しているようだし今のうちにふゆりのミスコンの参加用紙を完成させようか」
「そうだね。まだ他の実行委員はクラスの仕事で忙しくてしばらく来れなさそうだし」
そうして美優さんに紙を渡された。
「これに意気込みとかアピールとかなんか書くんだ」
「意気込み?」
「そうだ。それがミスコンの参加者のポスターに書かれるんだ。一言でいいぞ。ちょっと横の方に書かれるだけだから」
「う〜ん。じゃぁ…応援してくれる人のために頑張りますとか…でいいかな?」
「ふゆりらしさが出てていいと思うぞ。意気込みとかが決まったら写真を取らないといけないな」
「写真?」
「今さっきポスターっていただろ?」
「はい確かに意気込みをポスターの横の方に乗せるとか」
「それの上の部分が自分の写真だ。そしてその人のイメージに合った言葉も一緒につけたされる」
結構本格的だ!
「写真は制服のままでいいの?」
「いいといえばいいが参加者は大体可愛い衣装とか着て写真撮っているぞ」
「じゃぁ衣装とか着た方がいいですよね。でも可愛い衣装とかあんまりないです」
「大丈夫だ!演劇部に借りよう」
「でも貸してくらるかな?」
「そこは大丈夫だ。演劇部には友達がいるから絶対貸してくれるぞ」
何から何まで美優先輩に助けてもらっている。
「美優さん!いつもありがとう」
「お礼を言うのはこちらの方だ。私の方が助けられている。一年前のことだったり」
「私だって美優さんにいつも、助けられているよ」
「そうか、私がふゆりを助けられていたか…」
「うん!だからありがとうを受け取って」
「…ありがたく受け取っておこう」
「うん」
お互いの顔を見て笑った。
ガチャ
「失礼しまーすって百合⁈」
「え?百合?ガチじゃん!」
「あれこれ大丈夫?」
入ってきた人たちがなぜかおんなじことを言っている
「百合?ここにはユリなんてないぞ?」
「今さっき言ったことは気にしないでください」
「そんなこと言われたら余計気になる!ふゆりも知りたいだろ」
「うん!すごく気になる!」
みんながユリって言っていたことをわからないのは美優さんと私だけ見たいで余計に気になってしまう。
「…ふゆは知らなくていいんだよ」
「はるくん!でも気になるものは気になるよ!」
「でも、だめ。それより会議を始めませんか?実行委員のこと以外にも自分の役割もしなくてはいけませんよね?」
「そ、そうだね〜。生徒会長、早く進めましょう!」
「うむ?そうだな!全員揃ったところだし始めるか」
それから、会議が始まった。
会議の内容は、今のところ資材が足りないところはないか、何かトラブルは起きていないかと言うことだった。
そして、ミスコンについても説明がされた。
「…今日の会議はこれで終わりだ。各自、自分のやるべきところに行ってくれ」
「はい!」
そうして、今日の会議は終了された。
「ふゆ、僕たちもクラスに戻ろうか」
「うん!そうだね」
「ふゆり!今さっき話していた、ミスコンのポスター作りを放課後にしたいとおもうのだが時間はあるか?」
はるくんのこともあるけど、美優さんは私のために忙しいのに手伝ってくれようとしている…。
だからこの善意を無駄にすることはできない!
「わかった!放課後どこに行けばいいの?」
「場所は私の教室の前でいいか?手伝える時になるべくみんなを手伝いたいんだ」
美優さん…!忙しいのにみんなのことを少しでも楽にさせてあげようと手伝うなんて…!
本当に申し訳ないよ。
「うん。全然いいよ!むしろ私の方こそ忙しいのに手伝ってもらって…だからありがとう!」
「あぁ。こちらこそだ!じゃぁ私は行くな!また後で!」
「またあとで!」
そうして一旦美優さんと別れた。
美優さんが離れて行ってから私ははるくんに話しかけた。
「はるくん、私そういうことだから帰り遅くなるから、今日は一人で帰るね。はるくんは早く帰ってね?」
はるくんを待たせるわけにはいかない。
何よりポスター作りということは写真を撮るということ!
直で見られたら恥ずかしすぎて撮影どころじゃなくなちゃう。
だからはるくんに一人で帰ってもらおうと思ったのに…。
「俺は待ってるから大丈夫」
「え?でも、はるくんを待たせるのは申し訳ないし…」
「そんくらい大丈夫だよ。それよりふゆを一人にするくらいなら待つ方がいいからね」
「私が一人になっても何も起きないよ?」
「そういうところが危ないの自覚して。じゃないと危険な目に遭うよ?」
「危険?それは痛いこと?」
「う〜ん。痛いこともあるかもね」
「それは嫌だ…」
「じゃぁ俺が待ってるから一人では帰らないでいいよね?」
「はるくんに待ってもらうのは嫌だけど痛いのもやだから今日も一緒に帰ってくれる?」
そうやってはるくんを見つめる。
「っ…可愛い…!」
「はるくん?どうしたの?体調悪いの?」
「体調は悪くないよ。今日も一緒に帰ろっか」
「うん!」
話しながら歩いていたらすぐに教室についた。
「あっ!ふゆりさんと桜宮さんが来たぞ!」
「ふゆりさん桜宮さん!採寸するのでちょっと時間ください」
「はい!お願いします」
そして採寸を終わって人手が足りないところに手伝いに行った。
そんなことをしていたらもう放課後になっていた。
早く、美優さんの教室まで向おう。
「はるくん私行ってくるね」
「うん。いってらっしゃい」
そうしてはるくんと一旦離れて私は美優さんのところに向かった。
「美優さん!来ました!」
「おぉふゆり!では早速演劇部に向かおうか」
「はい」
❅•❅•❅
「演劇部の者には話をつけているから好きな衣装を選んでいいと言うことだ」
「美優さんすごいですね」
そこにはたくさんの衣装があった。
「ふゆりはこう言うドレスが似合うんだと思うが」
そこにはゴテゴテのドレスが…。
そういえば美優さん服のセンスが壊滅的だったのを忘れてた。
だけど一生懸命選んでくれたので断りずらい…。
どうしよう…。
「美優…流石にそれはダメだよ」
「沙奈!」
紗奈さん…!
彼女は、翠川紗奈さん。
美優さんの親友で私のもう一人の頼れる先輩。
「ふゆりちゃん元気?」
「はい。元気です!」
「うんうん。元気があっていいね」
「紗奈この服のどこがいけないんだ?」
「その服はふゆりちゃんにはあまり合わないでしょ?私はこっちの桃色のドレスと飾りには…この赤バラが目立っていいと思うよ」
「確かに…言われてみればそうだな」
「じゃぁふゆりちゃんこれ着てきてくれる?」
紗奈さんが選んだ服が渡される。
「着替えてきますね」
周りをカーテンで囲んで着替える。
「ところでふゆりちゃん?ミスコンのアピール何するの?」
「私は、その…歌を歌います」
「どんな曲?」
「その、恋の花言葉…と言う曲です」
「あの曲か!いい曲だよな!でもあれ?確か恋の花言葉はラブソングだったよな?」
「そ、そうでしたっけ?」
「ラブソング…つまりふゆりちゃんの恋の相手は桜宮くんね!」
「ち、ちがいますよ!」
「その焦り方は本当ね!」
ラブソングのところはわかるのになんで私がはるくんのこと好きだなんてしってるの?
「もう…紗奈さんは人の心でも読めるのですか?」
「違うよ。ただふゆりちゃんは分かりやすいの。美優もね」
「なっ!今わ関係ないだろ!」
「美優さんも誰かに恋しているの?」
「確かにそうだが、私の好きな人の周りには綺麗な人が多くてな私なんか気にしてくれないんだ」
「その気持ち分かる!私もはるくんが好きだけど周りに綺麗な人が集まって私なんか眼中になくて何度もこの恋を諦めようかなって思ってた」
美優さんの言っていることに共感しすぎてつい、いき良いよくカーテンを開けてしまった。
でも着替えていたからよかった。
「美優もふゆりちゃんも両想いなのに苦労しちゃって…よし!二人のために文化祭の伝説を教えてあげよう」
「文化祭の伝説ですか?」
「そんなのあったか?」
「それがあるのよ」
「例えばどんなのがあるんですか?」
「ふゆりちゃんの場合はミスコンの時にスイーツ食べ放題券と一緒にブーケを渡されるの。そのブーケを好きな人に渡すと恋が叶うと言う。美優の場合は、文化祭の最後に好きな人にキスをすると恋が叶うと言うのがあるのよ」
やっぱり学校にはいろんな伝説や噂とかあるんだな。
「でも、伝説と言っても噂だろ?」
「甘いよ美優」
「何⁉︎」
「実際にそれで付き合った人達はどれほどいるのか数えきれないほどいるのよ」
「でもそれでかなったらいいな」
「叶うよ。二人に最後にとっておきの魔法を教えてあげる。それはねーーー」
それから二人に手伝ってもらいなんとかポスターの写真はとれた。
「美優さん、紗奈さんありがとうございます」
「全然いいぞ!」
「えぇ、私もふゆりちゃんのことを手伝えて楽しかったよ。それより桜宮くんが待ってるでしょ?早く迎えに行ってあげてね」
「そうだ!はるくんにずっと待たせてたんだった!すみません先に帰らせてもらいます!」
「うん。困ったことがあったらいつでもきてね。」
「はい!」
演劇部の部室を出てはるくんのところに向かう。
「はるくん!」
「ふゆ!どうだった?」
「楽しかったよ」
「そっかならよかった。ここに突っ立っててもあれだし歩きながら話そうか」
「そうだね」
そうして学校を出た。
「ふゆは今日先輩と何か話したの?」
「うん!文化祭について話したんだ」
「文化祭のこと?」
「うん!私がミスコンで歌を歌うこととか伝説についてとか」
「伝説?そんなのあったかな?」
「私も初めて知ったんだけど…恋愛についてが多かったよ」
「恋愛?」
「うん。恋愛…」
ちょっと顔が赤くなっている自覚がある。
「ふゆはその伝説を好きな子にしようと思ってるの?」
「へぇ?ち、違うよ」
「ふぅ〜んその態度本当に好きな人がいるんだ」
「だから違うよ!」
はるくんのこと好きだなんて気付かれて一緒に入れなくなったら嫌だ。
だから嘘つくしかない。
「はぁ、一体どこのどいつが俺が見ていない時にふゆに関わっていたんだ?」
「はる…くん?」
なんかいつもと違う?
「大事なことだから言うよ?"ふゆり"が今好きな人はやめておいた方がいいよ?」
「え?なんで?」
「どうせ、ろくでもないやつがふゆりに近づいて騙しているだけだ。そんなやつを好きになるだなんて無駄だ。今すぐやめておいた方がいい」
「今さっきから…何を言ってい…るのかわからないよはるくん」
声が出しにくい。
今さっき、はるくんが言ったことは私みたいなのが自分を好きだなんて言うなってこと?
はるくん私の気持ちに気づいていたの?それなのになんで私に優しくしていたの?
「そこまで泣くって言うことはそんなにそいつのことが好きなんだな俺はいらないみたいだな…」
「はるくん。勘違いしてる!」
「勘違い?でもふゆりは好きな奴がいるんだろ?」
「そ、それはそうだけど…」
私が好きなのははるくんだし…。
「あぁそんな可愛い顔しちゃって。この顔を見れるのは俺だけだったのに…」
「はるくん!」
「ふゆりだけでも幸せになって…」
「待って!はるくん!待って!おいてかないで!」
「…」
いくら叫んでも帰ってきてくれない…。
そうしてはるくんは見えなくなるまで振り向くそぶりもせずに帰って行った。
「はるくんに嫌われた…」
気がつくとわたしは泣いていた。
ちょうど私の涙を隠すかのように雨が降った。
折りたたみ傘は持っていたがはるくんに嫌われたことへのショックで傘をさすことすらできなかった。
私はずぶ濡れのまま家に帰った。
お母さんとお父さんは心配してくれたが親の勘というものだろうか…。問い詰めることもせずただそっと隣にいてくれた。
改めて親の温かさを実感した。