とどまることをしらないで。

呼んでよ








「ーーーもう、今日の王様ゲーム、すごくびっくりした……」


「ね」




とことこ、歩く帰り道。今日は委員会で人が少なかったから、ふたりで帰ることができる特別な日。


実はゆっくり歩いているっていうことは、内緒。



「……、」



……ひとつだけ、気になっていたことがある。



「……管野くんは、嫌じゃなかった……?」


「……何が?」


「えと、その……みんなの前でぎゅってするの」


「……」



少しうつむきがちに聞くと、なぜか無言が返ってきた。


……もしかして、本当は嫌だったとか?


そりゃそうだよね。こんな可愛くもなんともないわたしと、しかも大勢に見られながらなんて。


じわりと瞳に透明な膜が張られたとき、



ーーーぐっと、引き寄せられた。



「……え、管野くん、」


「それ嫌」


「ご、ごめんねぎゅってしちゃって」


「……違う」



……え?違うの?

首を傾げたとき、ふわ、と背中に腕が回された。




< 35 / 69 >

この作品をシェア

pagetop