とどまることをしらないで。



ほんのり、律くんの顔が赤い。


わたしがそれに気付いた瞬間、隠すようにもう一度抱きしめられた。



「……今のは、見なかったことに」


「……ふふ」



そんなの、できない。

できないよ、律くん。



もう一瞬で記憶されてしまった。律くんのことならどんなことでも覚えている自信がある。




ーーーねえ、律くん気付いてる?



さっきの小さい声だったけどね。ちゃんと聞こえたんだよ。思わず流しちゃったけど。



「俺だけがいい」っていうの。




独占欲って言うんだってーーーー。



わたしも真っ赤になった顔を隠すように、律くんの腕の中にすっぽり収まって、顔を埋めた。







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