とどまることをしらないで。

悩みごと



ーーー……



最近、変だ。




「……りつくん」


「ん?」


「……ぎゅって、してください」


「……」



ピシッと固まった律くん。

そりゃそうだよね、大事なテスト勉強中にこんなこと言い出すなんて。

せっかくお家にお邪魔させてもらっている上にこのわがまま。


だけど。

ごめんね、とは思いながらも、少しだけ前に出して広げた腕を下ろさないわたしは矛盾してる。



「……はい」



それでも律くんは、ちゃんと応えてくれるから。


このわがままを止められなくて、甘え続ける理由なんだと思う。



「……める?」


「……もう少し、だけ」



ーーくっついていたいの。



離れようとした律くんの洋服の袖をきゅっと掴んで、お願いって目で訴えかけた。


だけど、それはふいっと反らされて。



「……また今度ね」



なんて言って、さりげなく腕を解く。


そこで、はっと我に返って。



「ーごっ、ごめんね変なこと言って……!」



最近、変なのわたし。おかしい。




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