とどまることをしらないで。



わたしはここに何をしに来たの……!

なに見惚れちゃってるの……!



頬っぺたをぺちぺちと叩いていると、教室と扉がガラっと開かれた。



「あっ」


「おまたせ。じゃ、行こっか」


「え……」



……あれ?

わたしの疑問を他所にスタスタと廊下を歩いていく律くんは、わたしの声を受け取ると振り向いて、



「文化祭。まわるんじゃないの?」


「……いいの?」


「いいよ、って……俺は元々、めるとしか回る気なかったよ」


「……っうん…!回りたい……っ!」



一緒に回る前からもうどきどきと高鳴る胸を押さえて、律くんの隣に並んだ。




「……わたしも、律くんとしか回らないって決めてたよ」


「ーー……、」




隠そうともしていない繋がれた手をぎゅっと握ると、それよりも強い力で握り返された。



ーーー……



「ーーんっ!これ美味しい……っ!」


「……うん、うまいね」



午後の部が始まって、わたしたちは今クレープを食べている。

甘いクリームとイチゴ、そしてチョコレートの合わさったハーモニー。


最高すぎる……っ!



「律くんのはティラミスだっけ……」


「……食べる?」


「えっ、いいの……?」



ん、と差し出されたそれにかぷりと一口……の寸前で、ぴたりと動きが止まる。



……ちょっと、まって。




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