とどまることをしらないで。



『これって、間接キスなんじゃ……っ!?』



どどど、どうしよう……っ!?



ばっと律くんを見ると、なんでもなさそうな顔をしていて、むしろ食べる寸前で止まったわたしを不思議そうに見ている。


分かっているのか、いないのか。



……よし。



覚悟を決めて、いざ、一口。



「んん~!おいひい……」


「……ふ、」


「ん?どうしたのーー……っ」


「ついてる、クリーム」



ぺろ、とわたしの口端についていたクリームを、その綺麗な指先で掬って食べてしまった律くん。



「~~っ」


どうしてだろう。
ティラミスは、ほろ苦いはずなのに。

苦みなんて、感じない。

すごくすごく、甘く感じる。









「……あ、」


「どうしたの律くん……?」


「……いや、なんでもない」



そういえば、さっきの。



『間接キスだった……』



一瞬で真っ赤になったであろう顔を背けて、俺のそんな状態はつゆ知らずの彼女に返事をした。





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