とどまることをしらないで。
『これって、間接キスなんじゃ……っ!?』
どどど、どうしよう……っ!?
ばっと律くんを見ると、なんでもなさそうな顔をしていて、むしろ食べる寸前で止まったわたしを不思議そうに見ている。
分かっているのか、いないのか。
……よし。
覚悟を決めて、いざ、一口。
「んん~!おいひい……」
「……ふ、」
「ん?どうしたのーー……っ」
「ついてる、クリーム」
ぺろ、とわたしの口端についていたクリームを、その綺麗な指先で掬って食べてしまった律くん。
「~~っ」
どうしてだろう。
ティラミスは、ほろ苦いはずなのに。
苦みなんて、感じない。
すごくすごく、甘く感じる。
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∗
「……あ、」
「どうしたの律くん……?」
「……いや、なんでもない」
そういえば、さっきの。
『間接キスだった……』
一瞬で真っ赤になったであろう顔を背けて、俺のそんな状態はつゆ知らずの彼女に返事をした。