とどまることをしらないで。


ーーー……



か、神様……お助けください……っ!



「っきゃああああー!お化けー!」


「……める、落ち着いて。これただの壁だから」


「へ……」



なんで、わたしはこの場所に足を踏み入れてしまったのか。


ただなんとなく、他のクラスの出し物が気になって。


入ろう、ってなったのがこの「絶叫!お化け屋敷」なのだけれど。



「……っうう……」



こんな怖いなんて聞いてないよお……っ!



「……乗り気だったからホラー得意だと思ってた」


「……うぅ……」



なんで律くんはそんなに涼しい顔してるの……?


仕掛けが現れたら、まずわたしは雄叫びをあげて、律くんはその仕掛けをまじまじ観察して「……おお。良くできてる」と感心ふるいうような流れが何回あったか。



こ、高校の文化祭のお化け屋敷を舐めていた……っ。



わたしはぶるぶる、がたがた震えながら律くんにしがみつくしかなくて。

今にも腰が抜けそう。



ーーーガタッ!



「ーーっひ、!!!」



どっどっと、素早いリズムで刻まれるリズムはわたしの鼓動。


真っ暗な視界を遮断するためにぎゅっと目をつむると、手がふわりと温かいもので包まれた。



……あ、手繋いでくれてる……。



ひとりじゃないことが温もりから伝わってきて、安心する。



「ありがとう……」



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