(仮)花嫁契約 ~ドS御曹司の愛され花嫁になるまでがお仕事です~
「俺は、誰かを愛したら触れたいし触れられたい。言葉だけじゃなく、相手の態度や行動で想われてるって実感したい……と思う」
「意外と、ロマンチストなんですね」
揶揄ってるわけじゃない、本当に朝陽さんがそんな風に考えていることに驚いただけ。普段の発言や行動から、この人の恋愛観はもっと冷めていると思っていたし。
見かけによらず朝陽さんは、恋人にしたら愛が重いタイプだったりするのかもしれない。それはそれで、面白そうだけど……
「意外と、は余計だ。鈴凪はそう言う気持ちにはならなかったのか、守里 流と恋人同士だった時に」
「流……」
流の事はもちろん好きだった。何年も付き合い、愛情だけじゃない深さが私達にはあると信じてもいた。
だけど……一つだけ彼との間に悩みがあったのも事実で。
「どうしたら、触れられたくなるんですかね? 私は流に性的な意味で触れられて、気持ち良いと思えたことが無くて」
「……それは、どういうことだ?」
もちろん抱きしめられたり、くっついた時の彼の温もりは好きだった。自分の居場所はここだって安心出来たし、なにより落ち着けた。
けれど、どうしても身体を重ねるという行為が好きになれなくて。それが原因で流とは何度か喧嘩になったこともある。