(仮)花嫁契約 ~ドS御曹司の愛され花嫁になるまでがお仕事です~
「え? それでいいんですか?」
「当たり前だろ。鈴凪をいじめるのは確かに楽しいが、必要以上にアンタを苦しめたり追い詰めたりしたい訳じゃない」
ううーん。違いがよく分からないけれど、彼なりに私に気遣ってくれてるのだろうか。
「いじめるのが楽しい、って部分が無ければキュン! とくる台詞だったかもしれませんね」
「……そんな風には見えないがな。それに触れないってのは性的でって意味であって、それ以外では今までと変える気はない」
逆に難しいような気もするけれど、朝陽さんがそうするっていうのなら私はそれで構わない。むしろ……彼は私の事を異性として見てないと思ってたから、ビックリしたくらいで。
本当によく分からない人だな、朝陽さんって。結局なんだかんだで、私の方が助けられてる気がするし。
「朝陽さんって面倒見が良いって言われません?」
「はあっ⁉ 鈴凪の目は腐っているのか? 俺のどこをどう見たら、そう思えるのかが全く理解出来ない」
おかしいな。今までで一番驚いた顔をされた気がする、思ったままを言葉にしただけだったのだけれど。意地悪な性格が前面に出過ぎていて分り難いが、朝陽さんは意外と良い人だと思う。
……まあ、本人は納得いかないようなので二度は言わないでおこうと決めた。