(仮)花嫁契約 ~ドS御曹司の愛され花嫁になるまでがお仕事です~
「……それで、こうして朝陽さんのお父さんにも会いましたし? これから私は、幸せな花嫁とやらのために何をしていけばいいんですか?」
「そうだな、とりあえず俺のマンションに引っ越してきてもらおうか。どうせ父に見張られるくらいなら、近くに置いておいた方が良いだろうし」
置いておくって、私を物みたいに言わないでほしいのだけど。それでも安アパートで周りにビクビクしながら生活するよりは、セキュリティーのしっかりしたマンションの方が安全だろうけれど。
「どこなんです、朝陽さんのマンションって」
「本社ビルの近くに最近建ったマンションの最上階だが、何か不満でも?」
ああ、朝陽さん高いところ好きそうですもんねえ。と言いたいが、とりあえず今は我慢しておこう。余計な事を言うと、私の状況が悪くなっていくことは流石に学習したから。
だけど……
「そのですね、実は私は高いところが苦手なんですけど」
「さっきは俺が譲歩したんだ、今回は鈴凪が努力するべきじゃないか? まあ、窓の少ない部屋を空けてやるから頑張れ」
「頑張れって……そんな無茶苦茶な」
そう返しても朝陽さんは全く聞いてないフリをして、スマホを取り出しさっさと引っ越しの準備を部下に指示していた。
そんな彼の強引さに諦めて、自分で片付けたい荷物があるからアパートまで連れて行ってほしいと頼むのだった。