(仮)花嫁契約 ~ドS御曹司の愛され花嫁になるまでがお仕事です~
「さて、と……あらかた片付いたし、ちょっと休憩でもしようかな?」
喉が渇いたのでキッチンへと移動すると、設置してあるウォータサーバーに気付いた。勝手に冷蔵庫を開けないで済むから有難い、そう思いながらグラスに水と注いだ。
リビングには座り心地の良さそうなソファーが置かれていたが、気が引けて離れた場所の小さなチェアーに腰かける。大きすぎるテレビの存在が気になって、ちょっとだけとリモコンで電源を入れた。
『熱愛発覚!? トップリーガー、真岸 晴仁の恋人と噂されているのは某有名企業の社長令嬢! そんなお二人のプライベートデートと思われる画像が……こちらです!』
昼過ぎという事もありテレビの内容はゴシップめいたものだったけれど、私の目はその画像に釘付けになった。
「この女性、確か……あの時に流と一緒にいた?」
鵜野宮さん、という名前だっただろうか? 確かに彼女にはどこか洗練された雰囲気があったが、まさか社長令嬢だったなんて。
いや、それよりも……トップリーガとの熱愛発覚って、いったいどういうことなの? 流は鵜野宮さんの新しい恋人ではなかったのだろうか。テレビに映る美男美女は、どっから見てもお似合いのカップルでしかない。
「本当に流は……あの人の遊び相手ってこと?」
あの時、朝陽さんの部下の人たちはそう話していた。それが真実ならば、今頃きっと流は……そう考えかけて頭を振った。彼は、もう私には関係ない人なんだもの。
ここのままでは休まらない気がして、テレビを消すとグラスを持って自室に戻ることにした。