海のように輝く君色を、もっと知りたい。〈ボーイズライフ〉
 次の日。

 朝六時前に起床した。普段は家を出るギリギリまで寝ていたい派だから、今日は早起きだ。

 横の布団で寝ていたはずの野田の姿はすでになかった。スタッフの人たちに紛れて朝ご飯の弁当を配っていた。

「あっ、平井くんおはようございます」
「あ、あぁ。おはよう。朝早いな」
「なんか撮影現場にいると、わくわくしすぎて眠れなくなっちゃうんです」
「そうなんだ」

 わくわく感がこっちにも伝わってくる。

 起きてからまず洗顔とかを済まし、野田が配っていた弁当を食べた。食べ終えると衣装の制服に着替える。白いシャツと、青色チェック柄のネクタイとズボン。女子は白いセーラーと男子よりも薄めの青色チェック柄のリボンとスカートだ。海が似合いそうな感じな制服。

 撮影する学校に生徒役がぞろぞろ移動する。今日の出番は主に教室でのシーン。

 教室に着くと、後ろ辺りにカメラが置いてあった。生徒役はそれぞれ指示された席に着く。野田は窓側の一番後ろだった。俺は真ん中辺りの席。

 少し経つと、メインの俳優たちが教室に入ってきた。

「柳楽斗真さんと朝倉ゆめかさんです」

 うちの親ぐらいの年齢の男の人、多分4、50代ぐらいの助監督がみんなに紹介する。

「よろしくお願いします!」とメインのふたりがはきはきと挨拶をした。柳楽斗真は野田の前の空いていた席に座り、朝倉ゆめかは教壇の上にいる先生役の女優の横に立った。

 今から撮るシーンは、転校生のヒロインが自己紹介するシーン。

 メインのふたりを中心に色々確認や準備をしていた。それを座りながらじっと眺めた。一応エキストラって何をやるのか今日まで野田に借りたDVDや動画配信見放題の映画を見たりして学んではみたけれど、未知の世界。ちょっと心臓の音がうるさくなってきた。

「それでは本番行きます! シーン……テイク1、スタート!」

 教室の中でカチンコというやつの音がなり響いた。


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