11回目の復讐~呪いの婚姻を受けた私と王太子は、同じ命で繋がっている~
 意識を失う間際に彼女はそう思った。
 唇を噛みしめてなんとか彼女に毒を盛られたことを回りの衛兵たちに伝えようとするも、うまく発声できない。

「あ……んぐ……おう……ぐ……」

 声にならない声。
 そして手を伸ばそうとする彼女が最後に見たのは、王妃が扇をずらして発した言葉。


『さ・よ・う・な・ら』


 目を見開き血眼になって彼女を見つめて涙をためるも、その訴えは届くことなく闇に消えていった──



 そうして目を覚ました時には地下室の中で、ヴィオラは棺に眠らされていた。
 音もない、時間もわからない。
 冷たくひんやりとしたその空間に、彼女は目を覚ましてぼんやりと天井を見上げる。

 どうなったのだろうか、リーベルトは? 自分自身は?
 今は生きているのだろうか、死んでいるのだろうか。
 その感覚さえわからずにひとまず起き上がってみる。

 そうして初めて自分の手を握る存在があることに気づく。

「リーベルト様っ!!」

 彼は眠るようにヴィオラの身体に寄りかかりながら、意識を失っている。
 何度ゆすっても、声をかけても彼の目が開くことはない。

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