11回目の復讐~呪いの婚姻を受けた私と王太子は、同じ命で繋がっている~
 ヴィオラの母親はジルラート王国で、最も有名なフィルス侯爵家の一人娘であった。
 それゆえにフィルス侯爵は婿をとって娘と結婚をさせた。
 しかしながら、この結婚はフィルス家が今後伸ばしていきたいと野望を抱いていた貿易業を取り込んで合併をさせるための政略結婚だった。

 婿とはいえ政略結婚だったヴィオラの父親は、妻がヴィオラを妊娠している時に元恋人と不倫をしてしまった。
 そして、そのまま一方的に離縁届を置いて家を出て行ってしまったのだ。
 不倫をされた上に離縁状を突きつけられたヴィオラの母親は、間もなく生まれたヴィオラを育児放棄した。
 乳母が育て、なんとか4歳になったところでヴィオラの母親は娘を使って王族に近づき、権力を得ようとした。

 ──つまり、今度は娘を王族に嫁がせるという政略結婚を目論んだ。
 ちなみに自分は駆け落ちして逃げた夫から精神的苦痛を受けたと、夫の実家に迫って彼の弟を今度は新しい夫とした。

 そんなわけでヴィオラの父親は自分の父親であるフィルス侯爵と協力して、侯爵家をさらに盤石なものにしようとした──


「どうしたの? ヴィオラ」
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