11回目の復讐~呪いの婚姻を受けた私と王太子は、同じ命で繋がっている~
「ふふ、ヴィオラに似合うと思った。やっぱり君には明るい色が似合うね」
「そうですか?」

(初めて、言われた……)

 いつも自分には似合わないと勝手に思い込み、なんとなく紺色や黒が入ったドレスを着ていたが、似合っていなかっただろうか、とヴィオラは思う。

(もっと明るい色のドレスを着たら、殿下は喜んでくれるだろうか)

 そんな風に感じて、初めて彼女は婚約者であるリーベルトに心惹かれていることに気づいた。

「ヴィオラ、君と婚約者になれて本当に嬉しい。好きだよ」

 私もです、と答えられたらどれだけよかっただろうか。
 そう答えようとして口を開くと、いつも父親や母親の声がこだまし、顔がよぎる。

「ええ、ありがとうございます」

 そう彼に告げるのが精いっぱいで、それでもリーベルトはただ優しく嬉しそうにはにかむ。
 まるで太陽神のように眩しく、明るくて素敵な人──

 ヴィオラは自分の感情を素直に出せないことに、苛立ちを覚えるようになった。
 そして、密かにリーベルトへの恋心は募っていく。

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