この恋の化学反応式
私と橘先生は机を挟んで向かい合って座り、早速授業を始めることにした。

「よし、それじゃあ授業を始めよう。そういえば模試が返されたんだっけ?見せてもらってもいいかな?」

「あ、えっとこれです、、」

今日返されたばかりなのにシワだらけになった模試の結果票を見せる。

「今回は数学もできなかったんですけど、特に化学が悪くて、、、」

「なるほど」

そう言いながら橘先生は、じっと結果票を見つめた。

(橘先生明るくてついていけないし、これから上手くやっていけるのか不安だな、、)

普段イケメンとは縁がない私にとって、橘先生は未知の種族だった。

「確かに他教科に比べて化学の偏差値が極端に低いね。でも任せて!僕こう見えて化学の担当だからさ」

こう見えても何も、会ったばかりでどうにも見えてない。そう思ったが、私の沈んだ気分を上げようとしてくれている橘先生の善意はありがたく受け取ることにした。

「じゃあ今日の授業は模試の復習にしようか」

「はい」
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