この恋の化学反応式
模試当日

足早に塾へと向かいながら、参考書とにらめっこをする。
試験開始まであと2時間程度しかないのに、初めて見る単語がいくつかあって焦ってしまう。

今日の模試は全科目ある。そして橘先生に教えてもらった化学は1時間目だ。

(覚えなきゃ、覚えなきゃ、、、)

先生が教えてくれたことを無駄にしたくない。その一心で私はひたすらに単語を詰め込んだ。

そして、参考書の端が私の手汗でよれてしまっているのに気づいた時、ようやく塾に着いた。

「おはよう有川。昨日はよく眠れた?」

「、、はい」

もちろん嘘だし、今朝鏡を見た時に目が充血してたから先生もきっと気づいてる。

「有川なら大丈夫だから、焦らずリラックスしろよ」

「分かりました。ありがとうございます」

先生と話して少し緊張がほぐれた気がした。席について参考書を解きラストスパートをかける。

「それでは化学の試験を始めてください」

塾長の声で試験が始まった。
きっと解ける。と自分に言い聞かせて問題冊子を開く。
そして頭が真っ白になった。

(なにこの問題、、分からない、、、)

シャーペンを持った手が震えた。
周りの人の、文字を書く音がやけに大きく聞こえてくる。

(こんなこと考えてる場合じゃない。早く解き進めないと、、)

大問1を飛ばして大問2に進む。

(あれ、この問題、どうやって解くんだったっけ。先生に教えてもらった問題なのに。何回か解いたことある問題なのに)

分からないんじゃなくて、思い出せない。
リラックスしろって励ましてもらったのに。

(私ってこんなに頭悪かったんだっけ)

そのまま満足に問題を解き進められず、試験時間は終わりを迎えた。

そして化学だけではなく、他の教科さえもボロボロだった。
1番得意だった英語と国語さえも思うように解けず、私はただ

(先生に点数教えたくないな、、)

と唇を噛み締めることしかできなかった。
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