ブラジルから出られない!
「いえ。バーで飲むカクテルは高くて行ったことはほとんどないです。カクテルは度数が低いのを少しだけ……」

エドゥアルドさんの質問に答えていると、マスターが私の前にカクテルを置く。すごく綺麗なカクテルだ。名前はわからないけど、宝石みたい……。

「飲んでみて」

「はい。いただきます」

そこから、私の記憶はない。



ズキン、と頭に痛みが走る。その痛みで目を覚ました。頭や体がどこか重い。

「ここ、は……?」

大きなベッドに私に寝かされていた。部屋の内装や広さは航兄の部屋じゃないことだけはわかる。

「えっ?何?」

手が動かすことができず、確認をしたら何故か両手は後ろで縛られていた。縄でキツく縛られて自由を奪われた手は、まるで囚人か誘拐された人みたいでーーー。

「若葉」

縛られていることにパニックになっていると、声をかけられる。顔を上げた先にいたのは、意識を飛ばす前まで一緒にいたエドゥアルドさんだった。
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