ブラジルから出られない!
「若葉はそんな風に怯えるんだね。可愛い」

エドゥアルドさんが私の体の上に馬乗りになる。長い指が私の髪を撫でて、またキスをされて、恐怖がさらに込み上げてくる。

「何で、何でこんなこと……。エドゥアルドさんが私をここに連れて来たんですか?」

震えながら私が訊ねると、エドゥアルドさんは笑いながら「そうだよ」と返す。そして続けた。

「若葉を守るためなんだ」

「ま、守る?」

「若葉、あのバーでナンパされていたでしょう?放っておいたら事件に巻き込まれてしまう。そんなのはダメだ。だから俺が保護してあげることにしたんだ」

「ほ、保護?」

エドゥアルドさんの言っている言葉が理解できない。何を言っているの?保護なんて必要ない。そう言いたいのに、口からは言葉が全く出てこない。

「大丈夫。ここで、俺がずっと守ってあげる」

ただ、私はエドゥアルドさんに誘拐されたということだけが理解できた。








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