ブラジルから出られない!
バーは歩いて三分の距離にあった。バーって言うと落ち着いた雰囲気で、クラシックっぽいBGMが流れてて、みんな無言でカクテルを飲んでいるイメージだったけど、クラブかのように賑やか!

「若葉はバーは初めてか?」

「う、うん」

雰囲気に圧倒されそうになりながら、何とか航兄の質問に頷く。航兄が度数の低いカクテルをマスターに注文してくれて、それをカウンター席でチビチビ飲みながら自身の耳に入り込んでくるポルトガル語に耳を傾ける。ああ、私、本当に異国にいるんだなぁ……。

航兄たちはカクテルを飲みながら五人で談笑している。話しているのはどうやら仕事の話みたいだし、私は大人しく出されたカクテルを飲んでますか。

バーに来てどれくらい経ったんだろう。チビチビ飲んでいたカクテルがなくなりそうになった時、横からグラスに入ったカクテルが差し出された。顔を挙げると、ガタイのいいタンクトップ姿の男性がいた。

「俺のおすすめのカクテルだよ。飲みなよ」
< 4 / 13 >

この作品をシェア

pagetop