ブラジルから出られない！

ナンパをしてきた男性は悪態をつき、バーを出て行ってしまう。突然のことにボウッとしてしまったけど、お礼を言わねばと慌てて私は助けてくれた人の方を向いた。

「あ、あの！ありがとうございました！」

そこにいたのは、さっきのナンパ男性よりも背が高くて、つり目のイケメンさんだった。艶やかな黒髪は少し長めで、でもとてもかっこいい……。あれ、この顔どこかで見たことがあるような……。

「いや、気にしないでくれ。異国でナンパだなんて怖かっただろ？楽しんでくれ」

男性がそう言って笑いかける。笑った顔も素敵！こんなイケメンに助けてもらったんだと私の胸がキュンと音を立てていると、バーにいる女性が悲鳴を上げる。

「あなた、エドゥアルド・ジャーディンでしょ！？ファンなの！サインして〜！」

女性の一人が声を上げると、みんなの視線は一気に男性に集まる。そうだ、この人は……！

「バレてしまったみたいだ。また会えたら嬉しいな。楽しい夜を」