ブラジルから出られない!
男性ーーーエドゥアルドさんは私に笑いかけるとバーを出て行く。その後ろ姿を見ていた私に、航兄が話しかけてきた。

「あれって、サッカー選手のエドゥアルド・ジャーディン?すご……。本物初めて見たよ」

「すごい人に助けられちゃった……」

また会えたらいいな。そんなことを考えながら私は胸に手を当てた。



私の密かな願いは、何と翌日に叶ってしまった。ブラジルに来て二日目、今日は航兄にブラジルの観光スポットを案内してもらう予定だったんだけど、急遽航兄に仕事が入ってしまい、私は一人で家を出た。

「まあ、今は地図アプリとかあるから大丈夫だよね」

ブラジルに行く前に、色んな観光地を調べて行くのを楽しみにしていた。サンパウロにはセー大聖堂という南米最大級の教会があるらしい。そこに今日は行ってみようと街を歩く。

「えっと、この道は……」

地図アプリと睨めっこをしながら歩いていると、「お困りですか?お嬢さん」と上から声が降ってくる。顔を上げた私の頬は、赤く染まった。
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