Immoral
帰社した時、すでに18時半近くなっていた。今日これからの仕事を考えると終わるのは21時近くなってしまうかもしれない。うんざりした。内心いらいらしながら次々と片付けていった。

「遅いじゃん。」

営業の島田さんに声をかけられた。

「早く終わらせて飲みに行こうよ。」

私は疲れていたので

「えー、今度でいいですよ。」

と断ったが

「いいじゃん、いいじゃん。手伝ってあげるから早く行こうぜ。」

と押し切られ断りきれなかった。

残っていた仕事を島田さんが手伝ってくれたのでそれほど時間がかからず上がる事が出来た。残っていた営業数人と発券課の同期の佐藤くんとカウンターの同期のマリも一緒だった。

飲みながら私はデリバリーの時の不満を島田さんと岩崎さんという先輩に愚痴った。

「だって届けて戻ったとたんに変更ですよ。明日じゃ駄目なのかなって思って課長に聞いたけどもう一回行ってこいって。」

「まあそうだろうなぁ。課長なら。」

岩崎さんが言った。

「俺もそう教わってきたし。」

と続ける。

「今日出来る事は今日やれって事だよ。」

島田さんが言った。

「とにかく骨惜しみするなって人だから、課長は。出来る事はすべてやれって人だからさ。」

と岩崎さんが言った。

「課長は自分もとにかく動く人だから。人にも厳しいけど自分にもすごく厳しい人だよ。」

島田さんも言った。

「とにかく私は恐いだけですけど。課長が恐くて恐くて。早く営業出てくれると安心する。」

私は言った。

「そんな恐いかぁ?恐くないよ、別に。」

島田さんが言った。

「俺も最初は恐かったけど。」

と岩崎さんが言った。

「恐いよね。」

と私は同期の佐藤くんとマリに同意を求めた。

「うん、恐い。」

佐藤くんも言った。でも佐藤くんは発券課なので直接指導される訳ではない。

マリは

「私はそんなに恐くないよ。」

と言った。

「富沢は何も恐くなさそうだぞ。お前の方が恐がられてんじゃないの?」

とマリは岩崎さんにからかわれた。

「確かに。」

と島田さんも言ってみんな笑った。
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