Immoral
パーティー当日。友人2人が泊まりで来ていた。パーティーの前に謝恩会で着る服を決めたりしていた。住宅メーカーでうちに関わった人も3、4人来ていた。

でもその中に早川さんはいなかった。料理やらお酒やらの給仕で意気消沈している暇はなかったがかなりがっかりした。

「いやぁ。大変ご馳走になってしまいました。今度はぜひこちらでご馳走させてください」

お開き間際に担当営業の山崎さんが言った。

「あら、そう?それなら若い人達同士で行ったら?せっかくお知り合いになったんだし」

母がそう言った。

「じゃあ次はいい店を予約するから合コンにしよう!」

お酒が入ってテンション高めの山崎さんは楽しそうに言った。

(早川さんがいれば良かったのに)

私はあきらめ悪くそう思っていた。

住宅メーカーの人が帰り片付けも一段落してお茶を飲んでいるとインターホンが鳴った。

「あら、皆さんもうお帰りになったのよ」

早川さんだった。既にパーティーは終わったのは知っていてわざわざ来てくれたという。手土産にチョコレートを持ってきてくれた。

早川さんはリビングに入ったと思ったら工事の最終確認でもするみたいに部屋を一通りぐるっと見回した後でお茶を飲むでもなく帰ると言った。

「今晩はもう遅いんで。顔だけ出したかっただけですから。」

そういうと両親に挨拶して忙しそうに帰っていった。でも私は私の為に来てくれたような気がした。私がねだるように言ったのでわざわざ顔を出してくれたんだと思った。

「なんて人だっけ?」

早川さんが帰ったあとすぐに友人のルミが聞いてきた。

「早川さん?」

「あ。そう。早川さん。かっこいいね。私ああいう人好きかも」

「やっぱりそう思う?」

「うん。かっこいい」

「だよね」

内心では
(彼はダメだよ、私が好きになったんだから)
と思っていた。




< 7 / 74 >

この作品をシェア

pagetop