眠れる森の聖女

(聖女)夢じゃなかった

「すまない、確かにこんなところでする話じゃなかったな。一旦このことは忘れてくれ」

レオ様はそう言って、私に似合いそうなサマードレスを何着か選び、帽子やサンダルも一緒に買ってくれた。

さすがレオ様、凄くかわいいドレスをパパッと選んでくれて、しかも私によく似合ってると思う。

その後のレオ様は至って普通。もしかしたらさっきのは夢だったかも?ってくらい、もの凄く普通。

買い物を終えてから、そのままふたりで街をフラフラ散策して、私が疲れる前に休憩を挟む。

噴水のある小さな広場のベンチに座り、海を眺めながらレオ様が買ってきてくれた、焼き菓子を頬張る。

外はカリッと中はサクサク、かりんとうのパンみたいな感じ。これは前世で似たようなのを食べたことがある気がするけど、なんだっけ?

景色はいいし、風が気持ちいい。幸せだなあ。

、、、って、私さっきプロポーズみたいなのされたよね?

忘れるとか、本当無理だから。

いや、ちょっと忘れかけてたけど、普通に無理だから。

今の私はまだ11歳だし、するとしても結婚なんてまだまだ先の話だし。

うん、この調子で聞かなかったことにしよう。全力で。

まだまだ旅は続く予定なのに、こんなん気まずくてやってられないわ。

でもなんか、混乱する。

レオ様は眩しいくらいにキラキラしてるから、ついりょうちゃんを重ねてしまう。

年も出会った頃のりょうちゃんと同じくらいだし、年下なのに包み込むように優しいところも似てる。

そしてさっきの『立派な大人だ』ってやつ、、りょうちゃんと結婚した日のことを思い出してしまった。

強引なところとか真面目なところとか、そもそも人種が違うから顔も全然似てない。当たり前だけどレオ様とりょうちゃんは別人だ。

別人だけど、、どうしよう。意識しないとか、できるか?

ていうかレオ様、本当に私のことが好きなの?なんで?いつから?

ああああ!意識しないなんて絶対無理だあ!これからどうしたらいいのー!?
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