眠れる森の聖女
その後街の東にある王国軍の陣地へ向かい、ラグランジュ公と兵士達の回収を依頼した。これで王都が奪われる危機は脱したと言えるだろう。
だが聖女は休む間もなく北の戦場ラビアへ転移し、結界を張って癒しの魔力を流しつつ、同時に思念伝達で兵士達に語りかけた。
『皆さん!私は聖女です!先程ランブランのラグランジュ公が王国軍に拘束されました!戦争は終了です!速やかに解散して下さい!』
聖女の声で兵士達の動きは止まったが、その真偽を確かめる術はなく、皆一様に戸惑いをみせている。
『聖女は嘘をつきません!ですが信じられないのも無理はないと理解はできます!なので一時休戦としましょう!とりあえず!今日のところは解散して下さい!』
回収を依頼して10分も経っていないのでまだ拘束はされていないはずだが、野暮なことは言わないでおこう。
兵士達は半信半疑ではあるものの聖女の説得に応じ、それぞれの陣地へと戻って行った。
それを見届けたあと、聖女はランブランと王国軍が争うアレオンへと移動し、同様に戦争を中断させる。
言動は無茶苦茶だが、これが最も早く戦争を止める方法だったのは間違いない。聖女のこの行動で救われた命は、10や20ではなかっただろう。
「これで、戦争は終わるよね?」
「はい。あとは国同士の話し合いとなるでしょうが、これ以上血が流れることはないはずです」
「うん、、」
気が抜けたのだろうか。聖女の体力がそろそろ限界を迎えようとしている。
「今日はこのまま王国軍の野営地で休息を取りましょうか?」
「いや、あきら君家に帰りたい。サルに会いたいの」
そう言って聖女は異空間を開き、ダニエリオの家の前に転移した。
夕飯時のため店は混雑しており、聖女が裏口へ向かう。
挨拶もなくそのまま階段を上がる聖女の背中を見送った。
聖女が今何を思っているのかはわからない。だが、私が聖女を信じてもっと早く動いていれば、より多くの命を救えていたに違いない。戦争を回避できた可能性もあっただろう。
過ぎたことを考えても意味がないのはわかっているが、命を救うため必死に動く聖女を目の当たりにし、後悔の念を抱かずにはいられなかった。
私が聖女を止めさえしなければ、、
いや、人質救出後そのまま動いていたら、絶対に途中で体力を切らして意識を失っていただろう。犠牲者を生き返らせようと無茶をして、やはり意識を失っていた可能性も考えられる。
例え足枷になったとしても、やはり聖女には監視役が必要だ。
完璧ではないが、我々は最善を尽くしたのだ。
「しばらく眠ったままかもしれないな、、」
聖女が結界を張ったようなので、店に顔を出して挨拶し、教会に用意された部屋に戻って泥のように眠った。
ぐっすり眠れたのは、本当に久し振りだった。
だが聖女は休む間もなく北の戦場ラビアへ転移し、結界を張って癒しの魔力を流しつつ、同時に思念伝達で兵士達に語りかけた。
『皆さん!私は聖女です!先程ランブランのラグランジュ公が王国軍に拘束されました!戦争は終了です!速やかに解散して下さい!』
聖女の声で兵士達の動きは止まったが、その真偽を確かめる術はなく、皆一様に戸惑いをみせている。
『聖女は嘘をつきません!ですが信じられないのも無理はないと理解はできます!なので一時休戦としましょう!とりあえず!今日のところは解散して下さい!』
回収を依頼して10分も経っていないのでまだ拘束はされていないはずだが、野暮なことは言わないでおこう。
兵士達は半信半疑ではあるものの聖女の説得に応じ、それぞれの陣地へと戻って行った。
それを見届けたあと、聖女はランブランと王国軍が争うアレオンへと移動し、同様に戦争を中断させる。
言動は無茶苦茶だが、これが最も早く戦争を止める方法だったのは間違いない。聖女のこの行動で救われた命は、10や20ではなかっただろう。
「これで、戦争は終わるよね?」
「はい。あとは国同士の話し合いとなるでしょうが、これ以上血が流れることはないはずです」
「うん、、」
気が抜けたのだろうか。聖女の体力がそろそろ限界を迎えようとしている。
「今日はこのまま王国軍の野営地で休息を取りましょうか?」
「いや、あきら君家に帰りたい。サルに会いたいの」
そう言って聖女は異空間を開き、ダニエリオの家の前に転移した。
夕飯時のため店は混雑しており、聖女が裏口へ向かう。
挨拶もなくそのまま階段を上がる聖女の背中を見送った。
聖女が今何を思っているのかはわからない。だが、私が聖女を信じてもっと早く動いていれば、より多くの命を救えていたに違いない。戦争を回避できた可能性もあっただろう。
過ぎたことを考えても意味がないのはわかっているが、命を救うため必死に動く聖女を目の当たりにし、後悔の念を抱かずにはいられなかった。
私が聖女を止めさえしなければ、、
いや、人質救出後そのまま動いていたら、絶対に途中で体力を切らして意識を失っていただろう。犠牲者を生き返らせようと無茶をして、やはり意識を失っていた可能性も考えられる。
例え足枷になったとしても、やはり聖女には監視役が必要だ。
完璧ではないが、我々は最善を尽くしたのだ。
「しばらく眠ったままかもしれないな、、」
聖女が結界を張ったようなので、店に顔を出して挨拶し、教会に用意された部屋に戻って泥のように眠った。
ぐっすり眠れたのは、本当に久し振りだった。