眠れる森の聖女
「アウグストゥスもなれなかった初代皇帝に、俺はなる!的なこと言ってたよ」
「いや、それを言うなら海賊王だな?」
「海賊王、、?」
麦わら帽子の少年がチラつく感じのモノマネをした梨花子さんに思わず突っ込んでしまったが、元ネタを知らない教皇が困惑している。
教皇が梨花子さんの話を聞き流しがちだとは思っていたが、あれは梨花子さんが教皇にとって意味不明な前世ネタを披露し続けた結果なのかもしれない。
スルーされることに慣れ過ぎた梨花子さんが、俺にリアクションされて照れたのか、顔を赤くしながら話を元に戻した。
「アウグストゥスって最初に戦争を起こした転生者のことだよね?ローマ皇帝の名をかたって戦争しまくるとか、相当中ニ病拗らせてるよね、、」
「ちゅうにびょう、、?」
「ローマ皇帝を名乗ってたからには最初の転生者も世界統一を狙ってたんだろうけど、あのじいさんはアウグストゥスをリスペクトして真似ようとしてたのかな?」
「ローマ皇帝?が誰かは知りませんが、ラグランジュ公の狙いは世界統一で間違いなさそうですね」
「あきら君が私の対となる転生者で強い魔力を持ってるって噂を聞いて、最初の転生者も同じだったと気づいたのかもね。それであきら君を狙った、、」
「そうですね。聖女の対であるダニエリオの力があれば、アウグストゥスが果たせなかった世界統一を叶えられると考え、負け戦に踏み切ったのかもしれません」
「まあ、おりこうちゃんのあきら君があんな悪者の言いなりになって戦争するとは思えないけどねー」
「いや、家族を人質に取られたりすれば、僕だって言いなりにならざるを得ないですよ」
知らぬ間に渦中に巻き込まれていたことを知り、どこか他人事に感じていた戦争が、いきなり現実味を帯びた。
多少強引なやり方だったようだが、速やかに戦争を終わらせてくれた梨花子さんに感謝の気持ちがわき上がる。
俺が聖女と共に召喚された転生者であることや強い魔力を持っていることは、変えようのない周知の事実だ。今後同じことが起こらないとも限らない。大切な人達を守るために、自分も強くならなければ。
梨花子さんのように無茶なことは性格的にできないが、俺は俺のやり方で強さを示し、大切な人達との平和な暮らしを守る方法を真剣に考えるべきだろう。
もちろん、結婚して幸せな家庭を築くという夢も、絶対に諦めない。
『30歳まで童貞だったから魔法使いになれたのかもしれない』という考えが脳裏をよぎったが、もしそれで魔法が使えなくなったとしたら、その時はその時だ。
俺の中の優先順位は断然、魔法より恋人なのだから。
「いや、それを言うなら海賊王だな?」
「海賊王、、?」
麦わら帽子の少年がチラつく感じのモノマネをした梨花子さんに思わず突っ込んでしまったが、元ネタを知らない教皇が困惑している。
教皇が梨花子さんの話を聞き流しがちだとは思っていたが、あれは梨花子さんが教皇にとって意味不明な前世ネタを披露し続けた結果なのかもしれない。
スルーされることに慣れ過ぎた梨花子さんが、俺にリアクションされて照れたのか、顔を赤くしながら話を元に戻した。
「アウグストゥスって最初に戦争を起こした転生者のことだよね?ローマ皇帝の名をかたって戦争しまくるとか、相当中ニ病拗らせてるよね、、」
「ちゅうにびょう、、?」
「ローマ皇帝を名乗ってたからには最初の転生者も世界統一を狙ってたんだろうけど、あのじいさんはアウグストゥスをリスペクトして真似ようとしてたのかな?」
「ローマ皇帝?が誰かは知りませんが、ラグランジュ公の狙いは世界統一で間違いなさそうですね」
「あきら君が私の対となる転生者で強い魔力を持ってるって噂を聞いて、最初の転生者も同じだったと気づいたのかもね。それであきら君を狙った、、」
「そうですね。聖女の対であるダニエリオの力があれば、アウグストゥスが果たせなかった世界統一を叶えられると考え、負け戦に踏み切ったのかもしれません」
「まあ、おりこうちゃんのあきら君があんな悪者の言いなりになって戦争するとは思えないけどねー」
「いや、家族を人質に取られたりすれば、僕だって言いなりにならざるを得ないですよ」
知らぬ間に渦中に巻き込まれていたことを知り、どこか他人事に感じていた戦争が、いきなり現実味を帯びた。
多少強引なやり方だったようだが、速やかに戦争を終わらせてくれた梨花子さんに感謝の気持ちがわき上がる。
俺が聖女と共に召喚された転生者であることや強い魔力を持っていることは、変えようのない周知の事実だ。今後同じことが起こらないとも限らない。大切な人達を守るために、自分も強くならなければ。
梨花子さんのように無茶なことは性格的にできないが、俺は俺のやり方で強さを示し、大切な人達との平和な暮らしを守る方法を真剣に考えるべきだろう。
もちろん、結婚して幸せな家庭を築くという夢も、絶対に諦めない。
『30歳まで童貞だったから魔法使いになれたのかもしれない』という考えが脳裏をよぎったが、もしそれで魔法が使えなくなったとしたら、その時はその時だ。
俺の中の優先順位は断然、魔法より恋人なのだから。