眠れる森の聖女
ん?てか、王子とか教皇とか、なんか立派な肩書きで呼び合っちゃって、あだ名かな?

そういえば、バタバタしていて後回しになっていた疑問がひとつあったな。

「あのー、私って聖女なの?そして、レオ様は王子で、ジョニデは教皇なのかな?」

もしかしなくても、私達は自己紹介をまだしていなかったのである。

ちなみに私は、名前がまだない。

「俺はトレドミレジア王国第二王子の、レオンティウス・ランベルティーニだ」

「私は聖カスティリオーネ大神殿第36代目教皇、アムブロジウス・ヴィルジリオと申します」

駄目だ。レオ様もジョニデも名前を聞いたところで、全然覚えられる気がしない。

呪文だ、多分呪文。口にしたら呪われちゃう系だった。きっと彼らは、名前を言ってはいけないあの人系の人達だと思う。

まあ、特に困ってないし、今のままでもいいかなって思った。私は名前がなかったから、自己紹介もできなかったしね。

ていうか、前世の名前でいいのか?いや、前世持ちって知られるとまずいパターンのラノベ読んだことあるし、こういうのは気軽にばらしちゃ駄目だよね。

でもそっか、レオ様はイケメン刑事(デカ)じゃなくて、イケメン殿下だったのね。言われてみたら、王子だわ。間違いない。

そしてジョニデもさりげなく偉い人で驚いた。

あ、そういえば「私は教皇です!」とか言ってたわ。駄洒落かと思って超ー聞き流しちゃってたわ。ジョニデは真顔でジョーク言うタイプだから、わかりづらくていけないね。

ここぞとばかりにレオ様がジョニデの意味を聞いてきて焦ったけど、涼しい顔して「え?なんとなく?」ってとぼけておいた。

なんかもう面倒臭くなってきちゃったな。

うん、やっぱり

「ということで、そろそろ森を出ましょうか」

別に時間が巻き戻ったわけではない。
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