眠れる森の聖女
町に着くとすぐに宿を取り、荷物を置いて食堂に向かった。

「ここの焼き飯が美味しいんだ。鳥の香草焼きも絶品だしな!」

レオ様がおすすめを注文してくれて、私は先に用意されたスープとサラダをむしゃむしゃ食べていた。

酸味の効いた魚介出汁のスープと、香草と唐辛子のハーモニーが堪らなくあとを引く海藻サラダは、前世で食べたアジアン料理を思わせる。これは、焼き飯と香草焼きも期待できるな!

「かなり独特で少し辛いから、子供の聖女が食べられるか心配してたけど、意外と平気そうだな。この辺でしか食べられないから、ここに来るといつもこればかりなんだ。聖女が食べられて良かったよ」

カレーっぽい風味の具が入った春巻きを口に詰め込みながら、

「レオ様、最高、ここの料理、マジ最高」

と、カタコトで感想を述べた。美味し過ぎて、脳をやられた。

エビ風味のパテがたっぷり塗られた揚げパンのお代わりをお願いする。これ、無限に食べられる。無限揚げパンだ。最高過ぎる。

レオ様おすすめの焼き飯も最初のスープと合う味付けで堪らない美味しさ。交互に食べたら無限に食せる系だったし、香草焼きは文字通り痺れるうまさで、本当気絶寸前だった。

生きてて良かったし、森から出られて本当に良かった。

味が濃過ぎてサルにはあげられなかったから、申し訳ないけど、サルにはバナナを食べててもらった。

ごめんねサル。だけど私は今、満腹で幸せだ。

満腹過ぎて動けなくなり、危うくレオ様にお姫様抱っこされそうになった。

そんなことされたら、恥ずかしくてまたしばらくレオ様の顔を見れなくなるから、もちろんお断りだ。

どうにかこうにか宿まで戻り、私は耐えきれずに、ベッドにダイブした!

バインバインだ!ベッドが!バインバインだよ!

テントの簡易ベッドとは、やっぱ違うよね。

満腹だし、今にも寝てしまいそうだけど、私には、まだやらねばならぬことがある。

それは、お風呂だよー!

ジョニデにやり方を聞いてバスタブにお湯を溜めた。日本じゃないからアワアワお風呂だし、テンションアゲアゲになっちゃうよね。

何度も言うようだけど、私は魔法効果なのか、全然汚れないし臭くない。

でも、それとこれとは話が別よね?

あああ、お風呂、癒されるわあああ。

そして石鹸の匂いって、どんだけ最高なの?これ発明した人は、多分神。聖女も神が発明?したらしいけど、そうか、私と石鹸は姉妹なのね?

お姉ちゃん、大好き。サルの次に。

サルのキーキー言う声でハッと目を覚ます。

おお、寝てたのか、、っておい!なんでレオ様がいるの!?

「聖女!大丈夫か!溺れてたぞ!?」

お風呂に沈み行く私をどうにもできずに大騒ぎしたサルの声を聞きつけ、レオ様が助けてくれたそうだ。

ああ、全裸なうえにお姫様抱っこ。恥ずかし過ぎて、死んだ。
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