眠れる森の聖女

(聖女)滲みでる塩

ジョニデの様子がちょっとおかしい。

少し前からそう感じていた私は、ジョニデの様子を伺いつつ、今後について考えていた。

ジョニデはほとんど話さない寡黙キャラ。少し慣れてきて会話を試みると塩対応。本当ブレない奴なわけ。そんなジョニデが、森を出てからというもの、不自然に喋り過ぎてるよね。しかも優しさの中に演技を感じる、ブレないが故の滲みでる塩。レオ様と違って自分がイケメンだってわかってて、それをさりげなく使ってくる感じとか、こなれてるわー。

で、ジョニデが何を企んでるのか。

まず、王国に戻ったら大変だよ、面倒臭いよって、それとなくアピールしてたよね。そして少しでも長くこの町にいさせようとした。更に、わざとらしく地図とか見せちゃって、遠回りするよう誘導。

確実に王国と私を遠ざけようとしているね。

なんでだろう。

ジョニデも王国の人だよね?レオ様は完全に王国の人間、王子だから間違いない。王国から、早く私を連れて来いって催促されまくって、かわいそうなくらい追い詰められてるっぽい。

王国は私を連れて来いと言ってて、神殿のトップであるジョニデはそれを阻止しようとしてる。

王国と神殿がうまくいってないのは確定。

あとはどっちを信じるか、だよね。

10年もいないままで問題なかった聖女を、王国はなんでそんなに欲しているんだろ?わかんないけど、そこまで求められちゃうと、逆に引くよね。それが人情だと思うの。

対してジョニデは、10年間呪い殺そうとしていた相手ではあるけど、無事和解したし、あの夜の謝りながらの男泣きに嘘はなかった。

もう答えは出てるよね。信じるならジョニデ一択だ。

だから、レオ様には申し訳ないけど、無垢を装って、これからガンガン寄り道していこうと思ってる。

それでも、いつかは王国に行くことにはなるよね。そのための対策も考えなくてはいけない。

とりあえず、ジョニデと買い物に行って気付いたんだけど、実は町の人達の言葉が全然わからなかった。多分、私の言葉も通じないはず。

きっと、言葉が通じるようになったあの時に、私のそばにいた人達だけに魔法がかかったんだね。マッチョ達とも普通に話せてたから、全然気付かなかったよ。

王国に着いたらとりあえず「ワタシ、コトバガ、ワカリマセーン」で大概のことをスルーしてやる。

あとは、魔法。

ジョニデの話ぶりで、私の魔力が半端ないってことだけはわかる。でも、うまく使えてないよね?使い過ぎるとロングスリープモード入っちゃうの、本当どうかと思うの。

まずは、この魔力使い過ぎ問題を解決しなくちゃだな。それがうまくいったら、次はわかりやすく威圧になる系の魔法の修得を試みたい。

ジョニデに魔法操作の基本とか教えてもらえないか、今度聞いてみよう。
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