眠れる森の聖女

(涼太)異世界あるある

目が覚めると、そこは美しい森の中だった。

俺の目の前にはサルがいる。おそらく、俺の母さんだ。俺は、サルになったのか?

サルかーなんか惜しいなーあと一歩って感じだったなー。

そんなことを考えながら、母さんから乳をもらい、俺はぬくぬくとサル生を満喫していた。

ある日森の中をウロチョロしていたら、見えない壁にぶち当たった。人生か!と思ったが、俺はサルだった。

結界なのだろうか?

そうかそうか、そっち系の世界なのね。俺はさりげなく異世界転生しちゃってたのね。

でもサルだしなーせめてスライムだったらなーそれっぽい感じに仕上がった可能性を感じるのになーサルだしなー。

なんて考えながら結界をペタペタしてたら、偶然穴を見つけてしまった。とんだ欠陥結界だな!

丁度俺が出入りできるくらいの小さい穴に運命を感じた転生ザルの俺は、結界の中を冒険した。

なななんと!しばらく行くと、赤ちゃんが転がっていた!

赤ちゃんがこっちを見ている!、、気がする。絶妙に目が合わない。ジワジワと距離を詰めて、ギリギリ赤ちゃんの手が届かない距離に腰をおろして様子を見る。明らかにこっちを伺っているのに、やはり絶妙に目が合わない。

この赤ちゃん、さてはただ者ではないな?

しばらくすると寝息が聞こえてきたので、赤ちゃんの上に乗り観察してみた。

普通にかわいい赤ちゃんだ。親は一体どこにいるんだ?心配だから親が来るまでちょっと様子をみよう、、

赤ちゃんの寝息につられて俺もうっかり寝てしまい、赤ちゃんの声で目を覚ました。

赤ちゃんがこっちを見ている。うんうん、かわいいな。

でもなんか、様子がおかしい?顔色かな?栄養が足りてないのか?

もーしょうがないなー俺が面倒みてやるか!俺はサルになっても、捨て猫に弱い系らしい。

俺が果物を口に押し付けてやると、赤ちゃんは必死になってそれにしゃぶりついた。

想像以上にかわいいな。

果物をしゃぶり続けて疲れたのか、赤ちゃんがウトウトし始めた。口の周りのベトベトを俺がペロペロ舐めてやると、赤ちゃんは気持ち良さそうな顔をして笑った。

りかちゃんのことを思い出して幸せな気分になっていたら、俺と赤ちゃんがほわっとした光に包み込まれた。

今のはなんだ?

まいっか、どうせ異世界あるあるだろ。

俺は翌日以降も果物持参で赤ちゃんのところに通った。果物をしゃぶらせて、口の周りを綺麗にしてやり、一緒に寝る。この感じ、やたらと懐かしいな。

ただなんていうか、この赤ちゃん、でかくなるのが早くないか?

ま、異世界あるあるだな。
< 66 / 189 >

この作品をシェア

pagetop