眠れる森の聖女
旅の途中

(王子)見ためは子供!頭脳は大人!

聖女は転生者であることを否定はしなかったが、簡単に自己紹介だけして、それ以上は話そうとしなかった。

追及しようとしたらサルが俺に襲いかかってきて、また顔を傷だらけにされ、聖女に癒してもらう。サルめ、いくら聖女が癒してくれるとはいえ、あんな思いっきり顔をえぐられたら、死ぬ程痛いんだぞ。いつか絶対にサル鍋にしてやる。

そういえば、聖女は前世で医者をしていたと言ってたが、やはり中身は大人だったということか。

まあ、昨日の勉強する様子を見れば一目瞭然てやつではあるが。医者ってことはどんなに若くても20歳は越えてるだろうし、完全に俺より年上ってことだな。

ん?俺は今、がっかりしたのか?

子供だと思っていた聖女が、自分より年上でがっかり、、なんでだ?

まあいい。とにかく、報告はせずとも情報は多いに越したことないと思って聖女に直接聞いてみることにしたが、大した情報は得られずだったな。

マエゾノリカコだったか、、区切りがわからんな。マエ?マエゾ?ジョニデ?マエゾ?

「ファーストネームは?」

「りかこ」

おお、そっちか、なるほどな。

「いくつで転生した?」

またサルに襲われた。名前のノリで年も聞き出せるかと思ったが、甘かったようだ。

聖女は苦笑いしながら、サルにやられた傷を再び癒してくれて、

「40歳だったよ」

と教えてくれた。

40歳で転生してから11年経ったということは、教皇と同じ年ということになるのか?少なくとも精神年齢は40歳を越えていることになるだろう。

なるほど、そう言われると、これまでの聖女の様子に、納得がいかなくもない。

部屋に戻って、俺は相変わらず聖女のことを考えていた。

昨夜聖女が転生者だったと教皇から聞いて、俺はいらだちを覚えた。

いらだちの原因は聖女が隠し事をしていたせいだと感じて、直接聖女の口から転生のことを聞きたいと思った。結果、俺は更なるいらだちを募らせることとなった。

いらだちの原因が自分でもよくわからない。

精神年齢が40歳を越える聖女からしたら、22歳の俺なんてとんだお子ちゃまだ。見ためがお子ちゃまの聖女にお子ちゃま扱いされるのがむかつくのかと考えた。

決して嬉しくはないが、むかつくのとはちょっと違う。

そういえば、最近俺はよくいらだっていた気がする。

直近では、俺との買い物を断った聖女が教皇と買い物に行くと聞いた時だった。

これではまるで、俺が教皇に妬いているみたいじゃないか?

今のこの感情も、俺より教皇の方が年齢的に聖女とお似合いだと感じたことによるものだとしたら、説明がつく気がする。

いや、聖女が実は大人だと知る前から教皇に嫉妬していたのはどう説明する?

違う。俺が知らなかっただけで聖女は元から大人だったんだから、俺が教皇に嫉妬するほど好きだったのは、、

ん?好き?子供だと思ってた聖女を好き?え?あれ?

いや、だから、外見ではなく性格を好きになって、、

え?俺は聖女が好きなのか?
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