眠れる森の聖女

(王子)恋する王子様

「ジョニデ、鑑定魔法は使える?」

「私の知識は広く浅くなので、鑑定も同様にしか使えません。結果がぼんやりと見える程度の効果ですね」

「やっぱ効果は知識量に比例するんだね。その知識ってのは、経験を伴わない本からの知識でもオッケーなの?」

「本を読めばいいというものではなく内容の理解は必須です。より深く理解すればそれだけいい、経験が伴えばより効果は高まるようです」

「なるほどねえ。鑑定するための知識がないと鑑定はできない、まあ当たり前だな」

「何を鑑定したいんですか?」

「ん?あーほら、私って疲れるとすぐ寝ちゃうし、魔法使い過ぎると長々と寝ちゃうじゃん?だから、どれくらい体力や魔力が残ってるのかを自分で見れたら、便利だなって思ったんだけど」

「鑑定魔法さえ覚えれば、聖女は前世の知識で体力の方は見えるかもしれませんよ?」

「まじか!よし、なるはやで鑑定をマスターするか!」

なるはやってなんだろうか。

最近、聖女と教皇はずっと魔法の話ばかりしている。

普段は護衛と一緒に馬を走らせているのだが、交代でしている夜の見張りを昨夜は俺がしたため、今日は荷馬車に乗っている。体力回復のために眠らなければいけないが、ふたりの様子が気になって全然眠れないのだ。

聖女が転生者だと聞いてから、俺が一方的にギクシャクしてしまっている。

これでは、聖女が転生者だから距離を置いていると思われかねないが、真実よりもその方がまだましなのかもしれない。

俺が聖女を好きだなんて、、

聖女は見ためが完全に子供だ。実際は、中身は大人で親子程の年の差、若過ぎる俺は眼中にさえ入れてもらえていない。

それらを乗り越えたとしても、王国の王子と対立関係にある神殿の聖女では、その立場が障害となるだろう。

はああ、睡眠不足も重なってヨレヨレな俺に、さすがのサルも同情してくれてるみたいだ。

なんだお前、慰めてくれるのか?いい奴だな。
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