手のひらに小さなハートを

ハートを背負って

頼まれたクマのマスコットは友達に渡すと喜んでくれた。そして手元にはもう一つ、友達にあげた物とは違うクマが残っている。

あれから、航介のことが気になっている。
笑ってる顔や真剣そうな顔、眠そうな顔も不思議と全部がときめいて見えた。

この気持ちが『恋』だと気づいていた。

あの日、指先に感じた熱が忘れられなくて……。

航介のために作ったクマは、渡すタイミングが掴めずずっと鞄の中にしまい込んでいる。

気楽に友達にあげるように渡せばいいだけなのに、それが出来ない。
考えれば考えるほど身動きできなくて諦めて帰る……という日々が続いてた。

今日も何もできず、ため息を漏らしながら下駄箱に向かうと背中を向けて立っている航介がいた。

その後ろ姿を見てドキッと心臓が暴れだした。
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