手のひらに小さなハートを
「それと、もうひとつお願いがあるんだけど……」

え?また別のクマ作って欲しいの?と思い航介を見ると、顔を赤くしてやけにはにかんだ表情をしている。

「俺と付き合ってください」
「えっ」

航介は口に手を当てながら上目遣いに私を見た。
その視線と重なると、萎んだ鼓動が再び激しく脈打ち始めた。

「あの、ね。そのクマ特別仕様なんだ」
「どういうこと?」
「背中にハート背負ってる」
「ハハッ、ほんとだ可愛い」
「でしょ」
「クマじゃなくて、雫のことな」
「っ!」

「好きです」
「うん……私も」

恥ずかしくて緊張してドキドキして嬉しい。
お互い目を合わせて、ただ微笑みあった。

手の中に収まる小さなハート。
これからはこの手のひらに重ねて大きくなっていくんだ――。
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