【短編】ワタシノコイガタリ①
それは突然だった。
この感じはまさに “運命の人” だと。
ひと目見た瞬間に全身が震えるくらいの。電流が体全体に走ったみたいな。ビリリと。
「え、やば、ほんとうにあるんだ……」
ポツリと呟いたことも忘れてしまうくらいこの感覚には衝撃的だった。
「レンカ、なに突っ立ってんの〜。早く!先輩の試合遅れちゃう!」
その声にまでドキリとしてしまうほど意識してると思ったら急に顔が熱くなった。
【先輩】【試合】
この2つのワードが私をドキドキさせるなんて昨日までの私には想像つかなかった。けど、今まさにそうなってる。
心臓はやや速まったままで、2階観覧席の1番前に座った。
目の前ではサッカーの試合が行われてる。
隣の親友は声援という名のラブコールを先輩に送っている。相変わらず可愛い。まじ女の私からしても天使ってくらいいい女。裏表がないっていうかもう表しかないっていうか……とにかく小さい頃から彼女には助けられてばかりいる。
そんな彼女には密かに憧れをもってたりしてる私なのだ。今更好きな人が出来たからって今すぐ彼女のようにはなれない。真似ることもできやしない。
なら、どうしたらいいのだろう……。
< 1 / 4 >