【短編】ワタシノコイガタリ①
「レンカさ好きな人出来たでしょ」
「――!?」
「ヤダ、そんな凄い顔してこっち見ないでよ。笑うじゃん」
そんなにおかしいのかよ。と内心どつきつつ驚くだろフツー。
てかなんで、どうして――。
「フッ。私を誰だと思ってんの〜?レンカの親友で幼馴染だよ?表情ひとつも汲み取れないわけないでしょ」
自慢げに胸を張る彼女――マリカは笑って言う。
そんな彼女に確かに、と素直に頷いてしまう私はお手上げ状態だ。
いや、本当の話。マリカにはいくら嘘をつこうとしてもすぐ見抜かれてしまう。嘘っていっても悪い方じゃないよ。特に恋愛系はドンピシャに言い当てられてしまうのだ。なんなら同じ人を好きになったことも言い当てられた。
「てかさっきすれ違った人でしょ」
「……」
「やっぱり」
「……はぁ。なんで分かるのさ。その能力怖すぎるわ毎度」
「えへへあんがとー」
「いや褒めてないし」
ほんと恐ろしい能力だ。
とまぁ、いつもこんな感じで言い当てられる始末なんだよねぇ。
「レンカの恋は全力で応援する。人を好きになるって自由だし。でも、これは親友として言わせてもらう。あの先輩はやめた方がいいよ」