【完】超絶イケメン王子たちは、可愛いお姫さまをいちばんに溺愛する。
Chapter*05
大好きな想いを込めて
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夏休みが明けて、9月になった。
いまは2週間後の体育祭に向けて競技の練習中……なのだけど。
ほとんどのクラスが校庭に集まってて、休憩中はそれどころではなかった。
もちろん、学年の違う2年生や3年生もいるわけで。
「あっ! 桃綺先輩だ……!」
桃くんを見つけた紫音ちゃんは、語尾にハートマークをつけて「桃綺先輩〜!」とアイドルを呼ぶみたいに桃くんに手を振った。
いつもなら気づいて手を振り返してくれるけど、わたしが先輩に絡まれた事件以降、そんなことはなくなって。
その代わり、夏休みを一緒に過ごした桃くんは……。
「……ん!? 振り返してくれた……んじゃなくて、舞彩にか!」
つい桃くんを目で追ったら、ばっちりと視線が合ってしまった。
たぶん、わたしに向けて笑顔で手を振ってくれてる。
「舞彩! 桃綺先輩がこっち見てるよ!」