【完】超絶イケメン王子たちは、可愛いお姫さまをいちばんに溺愛する。
藍くんがドアを開いたまま固定させて、わたしを正面から抱きしめた。
耳もとに唇を近づけて囁く。
「大丈夫。なにもしないから」
顔を離した後は安心させるように微笑んでくれる。
だけど、藍くんの言葉に胸がドクッと嫌な音を立てた。
なにも……ないの?
ふたりきりになったら、いつも以上に藍くんと近づけると思ってた。
『可愛がる』って言ってくれたから、紫音ちゃんが教えてくれたような甘々な藍くんが見れるかもって。
そんな気持ちばかりが高まってて、そうじゃないってわかるとショックで心にぽっかり穴が空いた感じがする。
わたしだけなのかな、期待してたのは……。
旅行だからって浮かれすぎだ。
小さくうなづいて部屋に入った。