【完】超絶イケメン王子たちは、可愛いお姫さまをいちばんに溺愛する。
「うん」
返事をしたら、さっきまであった温もりが離れて、ぜんぶなくなる。
そのまま洗面室を出てドアが閉まったから、急に寂しくなった。
もっといっぱいぎゅってしてほしかったな……。
わがままかな、そう思うのは……。
部屋に入るときに言ってたもんね。
『なにもしないから』って。
せっかくふたりで旅行に来てるから、カップルっぽく距離が縮まるかもって思ってた。
翠くんに藍くんのことを教えてもらったように、わたしがもっと素直になれたらよかったのかな……。
*
°
・
「藍くん、お風呂ありがとう」
お風呂から上がってソファに座る藍くんに声をかけた。
「ん。俺も入ってくるね」
家での会話と同じようにお風呂を交代。
スッとわたしの横を通っていって、また寂しくなる。
このまま普通に過ごして終わっちゃうのかな……。