図書室の人魚姫
誰も知らない図書室。
誰も知らない人魚姫。
密かに、ひっそりと学園に溶け込む都市伝説。《人魚姫》という言葉のピースのせいなのか、梅雨明け頃から夏の終わりにかけて巡って来る。
それもあって「またこの季節がきたんだな」という、それくらいの感覚だった。
――どうせ都市伝説なのに。何がそんなに楽しいんだろう?
「ねぇこの本返してきてよ」
「寧々子……それ何回目か覚えてる?」
「3回目くらい」
「なんでそんなに少ないのかしらね。もういいわ、返してきてあげる。そのかわり今度カフェでおごってよ!」
「はいはい」
笑顔で手を振る寧々子に見送られ教室を後にする。読書が趣味というより好きな先輩の読む本が好きな彼女は、すぐ買うすぐ借りるがモットーらしい。
誰も知らない人魚姫。
密かに、ひっそりと学園に溶け込む都市伝説。《人魚姫》という言葉のピースのせいなのか、梅雨明け頃から夏の終わりにかけて巡って来る。
それもあって「またこの季節がきたんだな」という、それくらいの感覚だった。
――どうせ都市伝説なのに。何がそんなに楽しいんだろう?
「ねぇこの本返してきてよ」
「寧々子……それ何回目か覚えてる?」
「3回目くらい」
「なんでそんなに少ないのかしらね。もういいわ、返してきてあげる。そのかわり今度カフェでおごってよ!」
「はいはい」
笑顔で手を振る寧々子に見送られ教室を後にする。読書が趣味というより好きな先輩の読む本が好きな彼女は、すぐ買うすぐ借りるがモットーらしい。
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