図書室の人魚姫
青年は迷いもなく近づいて、抱きしめてくれる。昔絵本で見た王子様とお姫様もこんな風だったな、と思い出す。
枯れ果てた夢。
「ねぇ都市伝説知ってる? ――知らない図書室。知らない人魚姫」
「……うん。だって有名だし」
「泡となって消えた姫は転生して、美しい青年となった。知らない図書室は、魔女の魔法で創られた幻想」
「そんな夢みたいな話、あるわけな――」
「その、信じられない幻想の中に《真実》も存在するんだよ」
「私、特別な人じゃないよ」
「ちがうよ。僕にとっては、すごく特別だよ《王子様》」
枯れ果てた夢。
「ねぇ都市伝説知ってる? ――知らない図書室。知らない人魚姫」
「……うん。だって有名だし」
「泡となって消えた姫は転生して、美しい青年となった。知らない図書室は、魔女の魔法で創られた幻想」
「そんな夢みたいな話、あるわけな――」
「その、信じられない幻想の中に《真実》も存在するんだよ」
「私、特別な人じゃないよ」
「ちがうよ。僕にとっては、すごく特別だよ《王子様》」