内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
両手で眼鏡を持ったままきょとんとしていると、テーブルに頬杖を突いた彼がクスッと笑った。と言っても、眼鏡を外している私には、ぼやけてしか見えないが。
「嘘だよ。真智が眼鏡を外したところを見てみたかっただけだ」
「ふ、普通に言ってくだされば外しますよ」
「そうか? 下着を見られるのも嫌なら、素顔はもっと見せたくないのかと」
「そんな風に言われると急に気まずくなるじゃないですか……」
眼鏡を取ることを、下着を脱ぐみたいな感覚で言わないでほしい。
頬が熱くなるのを感じつつ、外していた眼鏡を戻す。くっきり見えるようになった龍一さんの表情は、甘くて優しげだった。胸が、ドキンと鳴る。
「やっぱり少し、印象が変わるんだな」
「そ、そうですか……?」
それは、いい方に? 悪い方に?
聞いてみたいけれど、口に出す勇気がない。龍一さんは涼しい顔でスプーンを手にし、ひと口カレーを食べてから思い出したように話しだす。
「そういえば……平日の所帯じみたエピソードの他に、休日のデートにまつわる話もあった方がいいよな」
「休日のデート? すみません、私はお付き合いの経験自体ないので、よくわかりませんが……」